5月21日(水)〜6月15日(日)まで下北沢OFF・OFFシアターにて上演されている
SUGARBOY 6th. mini theater creation 2025「春醒」に出演している
元乃木坂46で俳優の北野日奈子がWWSチャンネルのインタビューに応じた。
北野は作品の見どころから演じている役柄と自身のキャラクターと通じるところ、
今後の目標を語った。
北野日奈子(C)WWSチャンネル 画像 2/5
北野日奈子 インタビュー:
Q:SUGARBOY 6th. mini theater creation 2025「春醒」はどんな舞台ですか?
北野:誰の青春時代にもある「心」や「想い」というか。5人の人生を舞台でお見せするのですが、どの世代でも体験したことがある心の葛藤が表現されています。人間の心の模様、生き様、そういうものが見られる舞台ではないかなと思います。
Q:舞台では「死にたい」などストレートな言葉もありますが、台本を見て、どう思いましたか?
北野:大枠の部分は決まっていると思うのですが、SUGARBOYの舞台稽古初日には台本が上がっていなくて。最初の3〜4日間は昼から夜までひたすら演者で話すところから稽古が始まるんです。お題を1つ決めて、話し合いの中で作っていくという。私はこの死生観についてよく考えるタイプなのですが、死生観の話になることも多くて。私が演じる「サルパ」という役は、この空間でしか生きられない状況の中で、強さと弱さを兼ね備えているけど死にたくなるという……1番自分に近い存在です。他のキャラクターも、役名が違うだけで演じている本人の人生とリンクさせている、そんなお話です。「死にたいというセリフってどうなの?」と言われることもありますけど、どちらかといえば「言わされている」より「言わせてもらっている」感覚の方が近いかもしれません。
Q:さまざまな舞台に出演されていますが、今回のSUGARBOY 6th. mini theater creation 2025「春醒」についての想いを教えてください
北野:川尻恵太さんの劇団SUGARBOYのオリジナル脚本に出演させていただくことが自分としては特別なこと。下北沢OFF・OFFシアターで立つことも、絶対にできる経験ではないし、正直怖い。客席との距離も近くて、5人で芝居しなければならないことにもプレッシャーを感じるのですが、川尻さんがいたからこそ演じられたというか「やらせてください」となった部分もあります。
Q:今回の劇場、下北沢OFF・OFFシアターに入ったとき、どんな印象を感じましたか?
北野:稽古の時に「楽屋がない」と話を聞いていたので、楽屋がないんだろうな〜っと想像していましたけど、本当に稽古場をそのままを持ってきたくらいの規模感です。稽古場も5人だったし、舞台上のセットもすごく狭いところ。そういう経験があまりなくて。地下1階で隣の稽古場から音漏れするような稽古場で練習していましたけど、舞台も稽古場そのまま。逆にこの小規模な雰囲気がリアルに伝わるし、そこがいいなと思います。
Q:先ほども話に出てきましたが、今回演じられている「サルパ」は、ご自身と通じるところはありますか?
北野:夢を膨らませながら皆で夢を語り合う場面があるのですが、私の役で「動物が好き」「お化けが本当に存在するのかな」という会話があって。それは実際に話していた内容なんです。私、生まれ変わったら獣医師になりたいと思っていますけど、この舞台でなら言えると。「やりたい」「なりたい」こういう時代にこんな風に思っていたんだよねという話し合いから川尻さんがピックアップして「サルパ」に落とし込んでいるし、「春醒」にも落とし込んでいる。この役を演じることで、過去の自分も、これから生きていく自分もすごく救われているというか…毎回ラブカに救われているなと感じながら演じています。
━舞台を拝見しましたが、ラストは「人間の愛」を感じられた感覚でほっこりしました
北野:それぞれが「そうなるしかなかった」ですね。私が演じる「サルパ」は、いろいろ夢を見たけど、この規模の中で叶えられる夢はないなら夢を見たままこの中で死にたい子。でも、ここなら子供を作れると夢を見ている子。演劇の楽しさを知ったからこそ外に出て演劇をしたい子。人を殺してみたくなった子…。それぞれの夢がある中でラブカにもいろいろあるというか。その親に育てられたらそうなるよねという筋が通っているし、面白いとシリアスが交差する場面転換の多さには、私も改めて気づくことが毎日あります。ラブカの立場になるとそりゃそうなるよね、みたいな。皆それぞれ思いはあるという。きっと5人を一人ずつじっくり5回見に来ても新しい発見があると思います。それくらい裏側が見え隠れしながら舞台が進んでいくから、演者としても面白いです。
Q:舞台を重ねるたびに作品を作っていく感覚はありますか?
北野:乃木坂46を卒業してから俳優業をさせていただいていますが、川尻さん以外の方は皆さん俳優がお仕事。経験とスキルがあるので、狭い空間で5人が芝居を作ると演技論がぶつかり合うんです。この時にこうしているからこうしてほしいとか、そういう会話が稽古場で行われていて。川尻さんが協力していこうよとバランスを取ってくれるんですけど(笑)このシーンはこうだから、このセリフは立てて欲しいとか、決め打ちで演じるのが難しい舞台だからこそぶつかり合うこともあったりして。稽古が終わったら皆それぞれ課題を持ち帰って、次の日に反映させていく……それを繰り返しながら歩み寄って理解し合っていくような感じでした。だから本番で出来上がった舞台は、本当にこの5人でしかできないものだなと感じます。
Q:小説家ラブカさんのキャラクターがとても個性的でしたが、一緒に演じてみていかがでしたか?
北野:本当の愛を知らない大人であり、自分の限界も知っている人。加藤将さんが演じたダンボは、自分の可能性を知らないから溢れ出る可能性が出ていると思うんです。ラブカは「やっぱ俺ってこうだよな」と知っているからこそ、死なずに生きているけど、独りよがりの気持ちや愛情が裏目に出てしまった故に最後は崩れてしまう。でも、崩れたからこそ演劇というのは嘘であり、人はその嘘に生かされているんだという言葉が言えたのかなと思います。一緒に演じるたびに「そうきたか!」と深さが増しています。
Q:本番舞台では日によってのアドリブもありますか?
北野:「死にたい」のシーンはもちろん、他のシーンも日によって違います。今の自分の気持ちでセリフを言うと、相手の受け取り方も変わりますし、それがまた新しく感じますよね。自分の中で、明日に死にたいのか?それとも1年後に死にたいのか?と感覚が違えば「死にたい気持ち」の言い方も変わるので……34公演あるからこそ、できるんだなと。公演回数が少ない舞台だと時間内でクオリティーを変えずに見せることが1番大事だと思うのですが、34公演あるとリピーターもいますし、演じている自分たちを飽きさせないためにも、その日の自分と向き合っていると思います。
Q:「舞台」とテレビや映画などの「映像の中」での演技に違いはありますか?
北野:違います。舞台は(お客様が)ずっと見ていてくれるから、セリフで気持ちをのせきれなくても後で回収ができるんです。でもテレビは泣くも笑うも数秒の中で最高点に持って行かなくてはならないので。私はテレビと舞台と両方を経験していますが、テレビはすごいなと思います。1秒抜かれることが嬉しい。カメラに収めた映像が1秒ずつ積み重なって番組が出来上がるわけですけど、テレビはその数秒の裏側が見えないからすごい!と思います。
━今回の舞台は、セリフが面白いし、舞台全体を見るとハマる楽しさや考えさせられることが多いと感じました。
北野:どのシチュエーションも自分に置き換えられるというか。ラブカたちの世界ではなく、普通の現実世界に生きる人にも響く設定で、そいうところが「刺さる」部分かもしれません。
Q:今後の目標があれば教えてください
北野:俳優業でいろいろな役を演じさせていただく中で、全部が良い思い出だし、自分の成長につながっていると思います。アイドルになる前から「自分は何者なんだろう」「宇宙において自分はちっぽけだけど、自分の悩みはそのちっぽけさに耐えられないほど重いものだ」とか、そんな風に考えながら生きていくネガティブなタイプなんですけど。その中で役を演じながら、自分の人生と並行しながら、自分が何者なのか、本当になりたいものは何なのか。自分の役割を生きてく中で見つけていきたいなと思います。
SUGARBOY 6th. mini theater creation 2025「春醒」
6月15日(日)まで下北沢OFFOFFシアターにて上演中!
さらに、DVD・Blu-rayの発売も決定!
詳細は公式X、公式サイトをご確認ください。
公式X https://x.com/sugarboy0625
公式サイト https://sugarboy.tokyo/6th
