Q:舞台を重ねるたびに作品を作っていく感覚はありますか?
北野:乃木坂46を卒業してから俳優業をさせていただいていますが、川尻さん以外の方は皆さん俳優がお仕事。経験とスキルがあるので、狭い空間で5人が芝居を作ると演技論がぶつかり合うんです。この時にこうしているからこうしてほしいとか、そういう会話が稽古場で行われていて。川尻さんが協力していこうよとバランスを取ってくれるんですけど(笑)このシーンはこうだから、このセリフは立てて欲しいとか、決め打ちで演じるのが難しい舞台だからこそぶつかり合うこともあったりして。稽古が終わったら皆それぞれ課題を持ち帰って、次の日に反映させていく……それを繰り返しながら歩み寄って理解し合っていくような感じでした。だから本番で出来上がった舞台は、本当にこの5人でしかできないものだなと感じます。
Q:小説家ラブカさんのキャラクターがとても個性的でしたが、一緒に演じてみていかがでしたか?
北野:本当の愛を知らない大人であり、自分の限界も知っている人。加藤将さんが演じたダンボは、自分の可能性を知らないから溢れ出る可能性が出ていると思うんです。ラブカは「やっぱ俺ってこうだよな」と知っているからこそ、死なずに生きているけど、独りよがりの気持ちや愛情が裏目に出てしまった故に最後は崩れてしまう。でも、崩れたからこそ演劇というのは嘘であり、人はその嘘に生かされているんだという言葉が言えたのかなと思います。一緒に演じるたびに「そうきたか!」と深さが増しています。
Q:本番舞台では日によってのアドリブもありますか?
北野:「死にたい」のシーンはもちろん、他のシーンも日によって違います。今の自分の気持ちでセリフを言うと、相手の受け取り方も変わりますし、それがまた新しく感じますよね。自分の中で、明日に死にたいのか?それとも1年後に死にたいのか?と感覚が違えば「死にたい気持ち」の言い方も変わるので……34公演あるからこそ、できるんだなと。公演回数が少ない舞台だと時間内でクオリティーを変えずに見せることが1番大事だと思うのですが、34公演あるとリピーターもいますし、演じている自分たちを飽きさせないためにも、その日の自分と向き合っていると思います。
Q:「舞台」とテレビや映画などの「映像の中」での演技に違いはありますか?
北野:違います。舞台は(お客様が)ずっと見ていてくれるから、セリフで気持ちをのせきれなくても後で回収ができるんです。でもテレビは泣くも笑うも数秒の中で最高点に持って行かなくてはならないので。私はテレビと舞台と両方を経験していますが、テレビはすごいなと思います。1秒抜かれることが嬉しい。カメラに収めた映像が1秒ずつ積み重なって番組が出来上がるわけですけど、テレビはその数秒の裏側が見えないからすごい!と思います。
━今回の舞台は、セリフが面白いし、舞台全体を見るとハマる楽しさや考えさせられることが多いと感じました。
北野:どのシチュエーションも自分に置き換えられるというか。ラブカたちの世界ではなく、普通の現実世界に生きる人にも響く設定で、そいうところが「刺さる」部分かもしれません。
Q:今後の目標があれば教えてください
北野:俳優業でいろいろな役を演じさせていただく中で、全部が良い思い出だし、自分の成長につながっていると思います。アイドルになる前から「自分は何者なんだろう」「宇宙において自分はちっぽけだけど、自分の悩みはそのちっぽけさに耐えられないほど重いものだ」とか、そんな風に考えながら生きていくネガティブなタイプなんですけど。その中で役を演じながら、自分の人生と並行しながら、自分が何者なのか、本当になりたいものは何なのか。自分の役割を生きてく中で見つけていきたいなと思います。
SUGARBOY 6th. mini theater creation 2025「春醒」
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