2022.10.10 公開
山口乃々華、ミュージカル『SERI〜ひとつのいのち』のゲネプロに登場

カメラマン:オノデラカズオ (C)2022,conSept LLC  画像 1/8

舞台『アーモンド』が第30回読売演劇大賞の中間選考で各部門のベスト5としてノミネートされるなど、上質な作品作りで注目を集めるconSeptの最新作、ミュージカル『SERI〜ひとつのいのち』が6日、東京・博品館劇場にて開幕した。役者のパワーと生演奏の音楽と演出により、愛と祝福が詰まったあたたかい余韻に包まれる意欲作となってる。

本作は、ニューヨークで暮らす親子の実話『未完の贈り物』を原作としたオリジナルミュージカルで、両目の眼球がなく障害を抱えて生まれた少女・千璃が感じたかも知れない事に想像を巡らせ、夫婦の葛藤、多くの苦しみから育まれた愛、命が教えてくれるきらめきを、生演奏とともに描いていく。

初日直前に行われた取材会には、タイトルの千璃役・山口乃々華、母・美香役の奥村佳恵、父・丈晴役の和田琢磨が登壇、意気込みを語った。

山口乃々華、ミュージカル『SERI〜ひとつのいのち』のゲネプロに登場カメラマン:オノデラカズオ (C)2022,conSept LLC  画像 2/8

初日を迎えた心境を聞かれると、山口は「早く観ていただきたいワクワクした気持ちの方が強い気がしていて、こういう気持ちになるのは初めてです。今までは緊張するタイプでしたが、今回はすごく時間をかけて丁寧にお稽古してきたので、早く観ていただきたいという気持ちでいっぱいです」とコメント。奥村も「この作品がお客さまにやっと届くのだという嬉しい気持ちでおります。みんなでやってきたことを信じて届けたい」と力強く答え、和田は「倉本家の家族のお話ですが、とてもあたたかい作品に仕上がったと思います。はやくお客様にもこの作品の雰囲気、座組の雰囲気を感じ取っていただきたいですし、多くの方にこの世界観と千璃の生き様を知って欲しい」と心境を語った。

続いて、周りから「愛されてる」と感じたのはどんな瞬間?という質問には、チームの和やかさを感じさせるトークが繰り広げられることに。山口は≪佳恵さんからアメをもらったこと≫を発表。「私が稽古期間中に何かのアレルギーになってしまって、叫ぶシーンがあって喉をやられかけた時、佳恵さんがサッと来て下さって『ののちゃん、これなめて!』ってありったけのアメをくださって!溢れんばかりの愛を感じて、ママ最高!」と母と娘のほっこりエピソードを披露。

山口乃々華、ミュージカル『SERI〜ひとつのいのち』のゲネプロに登場カメラマン:オノデラカズオ (C)2022,conSept LLC  画像 3/8

続いて和田はびっしりと書き込んだパネルを見せ、≪みんなが集合した時に和田だけおらず、みんな『和田ならいっか』と言っていた』そうです。これは愛されていると言えますか?≫とニッコリ。和田は「さっき楽屋でこの質問を(植本)純米さんに聞いたら『(純米さんのモノマネで)集合した時に琢磨がいなくてさ、琢磨ならいいかって、愛されてるじゃん!』と教えてくれたのですが、これは愛なんでしょうか?」と問いかけると、山口からは「え?終わり?ほかにもっといいエピソードはありますよね?」とツッコミが。それには奥村も爆笑し、チャーミングな素顔をのぞかせる。山口は「みなさん和田さんのちょっとしたモノマネとか面白ギャグで笑ったりしていましたよ!」とフォローし奥村も「常にみんなに笑顔を与えてらっしゃる!」と愛されエピソードを披露すると、和田は「嬉しい!みなさんがそうやってニコニコしてくださるのが僕にとっては愛を感じる瞬間です!」と会場をあたためた。

山口乃々華、ミュージカル『SERI〜ひとつのいのち』のゲネプロに登場カメラマン:オノデラカズオ (C)2022,conSept LLC  画像 4/8

そして奥村は≪常に。≫と書かれたボードを照れながら見せ「この座組のみんながみんなの事を大好きで、愛がある方々がスタッフさんも含めてこんなに集まることがないなって思います。大変な作品ですがみんながみんなの事を思い合っていて。自分にできるベストを尽くして稽古に臨んでいたので、常に愛の中で作り上げた作品!」と胸を張った。

最後に山口は「人との支え合いや、愛されているからこそ自分が存在できること。歌詞にもありますが、きっとみなさんが教訓として持って帰ってもらえるような素敵なメッセージがたくさん詰め込まれた作品になっています」と呼びかけた。

その後行われたゲネプロでは、初出の青色のイメージとは一転、淡いピンク系の衣裳に統一された演者たちが登場。初日を迎え、桜が開花した様な胸の高鳴りを感じたのもつかの間、光一つない暗転がやってきた。(上演開始後5分間は入場ができないので遅れずに!)今作では東京2020パラリンピックの閉会式で旗手入場のシーンの振付を担当した下司尚美が、振付とミュージカル初演出に挑んでいることが注目として挙げられる。導入部分で千璃と同じ様な状況を作ることで自然と観客は千璃の世界に導かれるのだ。そして千璃を魂と実体として描くことで、魂としての千璃の存在が、リアルな物語にリアルを超えた感性を与え、言葉だけでは伝えきれない思いを語りかける。

山口乃々華、ミュージカル『SERI〜ひとつのいのち』のゲネプロに登場カメラマン:オノデラカズオ (C)2022,conSept LLC  画像 5/8

山口乃々華は、目が見えないという難役を高い身体能力で、嬉しい時には素直に喜び、さびしそうな母親に対して首を傾げながら様子をうかがいそっと寄り添うなど全力で演じている。見どころとして山口は≪無言劇≫を上げていたが、パントマイムを交え日常のセリフや匂い、空気感を力いっぱい魅せている。エネルギーの塊のその様はぜひ劇場で確認して欲しい。

そしてもうひとり、この生命力はどこからくるのかと思う熱演が凄まじい実力派女優・奥村佳恵。子供を授かった喜びから絶望、そして何年も続く子育ての苦悩すべてが感情のジェットコースターだ。彼女が唄う楽曲も大ボリュームで、その中でも千璃の笑顔でみるみる闘志ともいえる決心がみなぎるナンバーM15≪生まれた意味≫の歌唱は圧巻。きっかけひとつで変われる、強い愛と意思が胸に突き刺さります。

山口乃々華、ミュージカル『SERI〜ひとつのいのち』のゲネプロに登場カメラマン:オノデラカズオ (C)2022,conSept LLC  画像 6/8

その美香に寄り添うクッションの様な夫を演じるのは和田琢磨。彼が持つソフトな佇まいや声のトーンが役とハマり、全身から優しさと愛がにじんでいる。どんなにすれ違っても家族への想いは変わらない、まさに縁の下の力持ち。本格的なミュージカル初挑戦というが、見事に彼の存在の大きさが物語そのものを支えているようにも見えた。

もちろんその他を支える役者陣も素晴らしく、様々なジャンルから集結している今作。多彩な個性で家族の物語をグッと引き締めています。特に家族と対立するオオクボ医師役の植本純米は、女形という二刀流も見どころのひとつ。ちょいちょい出てくる別役がいいエッセンスになっている。

山口乃々華、ミュージカル『SERI〜ひとつのいのち』のゲネプロに登場カメラマン:オノデラカズオ (C)2022,conSept LLC  画像 7/8

そんな痛々しい現実を描いているにもかかわらず、その感情を見事に浄化しているのが、高橋亜子による脚本・作詞と、作曲・音楽監修の桑原まこ。歌詞と楽曲の素晴らしさもとより全編生演奏という贅沢さで物語に深みを与えている。珠玉の歌詞やナンバーの一部はパンフレットで確認できるので、ぜひ手に取って欲しい。気鋭のクリエーター達のコラボレーションを堪能できる本作、東京公演は10月16日(日)まで博品館劇場にて上演。なお、大阪公演は10月22日~23日まで松下IMPホールにて上演。

山口乃々華、ミュージカル『SERI〜ひとつのいのち』のゲネプロに登場カメラマン:オノデラカズオ (C)2022,conSept LLC  画像 8/8

・ライブ配信決定
3日間4公演のライブ配信が決定。1台のカメラによる全景・定点配信を3公演、3台のカメラによるスイッチング配信を1公演実施します。いずれも見逃し配信期間は最大1週間、見逃し配信終了日の前日までご購入いただけます。毎週土曜はSERIの配信日!!

《東京公演》
・10月8日(土) 12:30公演=全景・定点配信
※見逃し配信は最大1週間(10月14日23:59まで)
・10月15日(土) 12:30公演=全景・定点配信
※見逃し配信は最大1週間(10月21日23:59まで)
・17:30公演=3カメ・スイッチング配信
※見逃し配信は最大1週間(10月21日23:59まで)

《大阪公演》
・10月22日(土) 15:00公演=全景・定点配信
※見逃し配信は1週間(10月28日23:59まで)

《価格(東京・大阪共通)》
全景・定点配信=2500円(税込)
3カメ・スイッチング配信=4000円(税込)
※いずれの配信も見逃し配信終了日前日までご購入が可能です。

●チケットのご購入サイト:東京
https://consept-movie.myshopify.com/collections/streaming
※大阪は後日発表いたします。

・アフタートーク開催
《1回目:原作者と障害について考えてみる》
10/9(日) 17:30公演終了後30分程度
登壇者:倉本美香、岸田奈美、山口乃々華、奥村佳恵、植本純米(MC)

《2回目:クリエイターと作品の面白さについて語る》
10/12(水) 14:00公演終了後30分程度
登壇者:桑原まこ、下司尚実、和田琢磨、小早川俊輔、小林タカ鹿(MC)

《3回目:演出家と主演3人でクリエイションを振り返る》
10/22(土) 15:00公演終了後30分程度
登壇者:下司尚実、山口乃々華、奥村佳恵、和田琢磨、宋元燮(MC)

・公演概要
conSept Musical Drama #7 『SERI〜ひとつのいのち』
公式サイト: https://www.consept-s.com/seri/
ハッシュタグ: #舞台SERI #舞台セリ

出演:山口乃々華 奥村佳恵 和田琢磨
植本純米 小林タカ鹿 樋口麻美 辰巳智秋 内田靖子 長尾純子 小早川俊輔
原作:倉本美香『未完の贈り物』
脚本・作詞:高橋亜子
作曲・音楽監督:桑原まこ
演出・振付:下司尚実
演奏:桑原まこ(Key.)、成尾憲治(Gt.)、山口宗真(Reed)、平井麻奈美(Vc.)
アソシエイト・プロデューサー:川村徹也
プロデューサー:宋元燮
後援:一般社団法人未完の贈物 / 製作支援:杉本事務所
企画・製作:conSept / 主催:conSept、関西テレビ放送 (C)2022,conSept LLC

[上演日程]
東京 2022年10月6日(木)~10月16日(日) 博品館劇場
大阪 2022年10月22日(土)~10月23日(日) 松下IMPホール

■チケット料金(全席指定・税込、東京・大阪共通)
SS席:11,500円、SA席:10,500円、A席:9,000円、C席:7,000円
【お問合せ】 info@consept-s.com

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