―TiAさんの音楽のルーツを教えてください。
デビューしたのは2004年で、16歳の時でした。当時は『NARUTO -ナルト-』というアニメのエンディングテーマを歌わせていただいたり、ジャンルとしてはずっとポップスを歌っていました。そこからデビューして10周年くらいの時に、歌うことへの情熱や伝えるべきことが分からなくなり、さらに自分は誰にも必要とされていないんじゃないかと思うようになってしまって単身渡米を決意して。どうにか日本から消えてしまいたいと思い、ニューヨークに行ったんです。そこでは最初はゴスペルは歌っていなくて、誰でも参加の意思を伝えれば有名なミュージシャンに演奏してもらって歌える“オープンマイク”で毎日のように歌っていて。当時私はハーレムという地域に住んでいたのですが、部屋の周りにある教会からいつもゴスペルが聞こえてくる環境だったんです。だけどそこで耳にしていたゴスペルはあまりにも本物の祈りの歌声だったので、なかなか教会に行くことができなくて。そんな時に日本にいた私の愛犬が亡くなってしまい、毎日泣いて過ごしていたのでそのタイミングで教会に行きました。そこで牧師さんに「一緒にゴスペルを歌わないか」と誘っていただいて、その教会でゴスペルを歌ったことをキッカケに、ゴスペルを始めることになりました。ゴスペルを始めた年には“マクドナルド・ゴスペルフェスト”という全米で最大級のゴスペルの大会に、“おむすびシスターズ”という3人組で参加して、グループ部門では初めての日本人での優勝を果たしました。その後もしばらくは、小さな教会でただ歌っていたのですが、ある日ニューヨーク・タイムズの記者が「なぜ君はハーレムの教会でゴスペルを歌っているんだ」ということで取材に来て、ニューヨーク・タイムズの一面に特集してもらったり、アメリカのFOX5 NEWSとかでも特集していただいたり夢のようでしたね(笑)。
―もともと、音楽を仕事にしたいという想いはあったのですか?
家族の影響で小さい頃から周りに音楽があったので、音楽をずっとやっていきたいという想いはありました。だけど、仕事という考えは全く無くて、CDデビュー=音楽が仕事になるというのがわかっていなかったんですよね。だから実際に音楽が仕事になってからいろいろなギャップを感じて、“これはお仕事なんだ”と思った時に悲しい想いもたくさんしました。だけどどうにか売れないといけないとは思い、10年間いろいろなことを試してはみたのですが、自分自身が歌いたい音楽や、自分自身の歌声の良さが全く見えなくなってしまって全部見失ってしまったんです。ビジネスとしての歌手というのと、自分の心が葛藤してしまったんだと思います。それもあって、ちょうどデビュー10周年のタイミングで渡米した感じですね。
―TiAさんが思うゴスペルの魅力を教えてください。
