2018.07.30 公開
BUCK-TICKが、今年3月にリリースしたアルバム『No.0』を携えた全国ツアー“BUCK-TICK 2018 TOUR No.0”の追加公演、事実上のツアーファイナル公演を7月26日東京・国際フォーラム ホールAにて開催した。
誕生と終焉、創造と破壊、愛と死を描いた『No.0』が、このツアーを経て到達したのは、極上のカタルシスだった。メンバー自身が制作段階から“映像的”だと評していた『No.0』の世界を、スチームパンクをテーマにしたステージセットの中、重厚かつシリアスなメンバーのパフォーマンスと、それをよりドラマティックに演出する映像とライティングとで、雄弁に物語っていた。
そして、そこで綴られた別離の哀しみも、日常の不条理も、争いの悲劇も、すべてを浄化するエンディングへと導かれ、思わず涙した人も多かったはずだ。その感覚は、このツアーを体感した者にしか分からないものかもしれないが、このレポートを通して少しでも感じてもらいたい。
デビュー31年目に突入するBUCK-TICKが、この史上最高のツアーを経て、前人未到のステージへとまた一歩、歩を進めたということを。
SEと共にスクリーンに映し出されたのは、一つずつ組み上がっていく金属のパーツ。“創造”を感じさせる映像の後、ステージ上の4つの白い紗幕にメンバーのシルエットが浮かんでは消滅する。そしてシルエットのままスタートする「零式13型「愛」」。
その1音目は、宇宙の誕生・ビッグバンを思わすほどの爆音だった。やがて紗幕が開くと今井寿(G)、星野英彦(G)、樋口豊(B)、ヤガミ・トール(D)の姿が顕になり、センター後方からゆっくりと櫻井敦司(vo)が登場。ヤガミが打ち鳴らすバスドラの音が鼓動とシンクロする。
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