2018.07.30 公開
BUCK-TICK、デビュー30周年を飾る全国ツアーが超満員の国際フォーラムでフィナーレ!!

BUCK-TICK(田中聖太郎写真事務所)  画像 1/8

ヤガミの迫力あるドラミングが熱気を誘う「IGNITER」では、さらにそれを煽るように灼熱の炎が上がった。本編では『No.0』の楽曲に、インダストリアルや反戦など、『No.0』の世界観に合った過去曲が4曲セレクトされた。それはツアーを重ねるたびに少しずつ変化し、より表現の自由度が増していったように思う。

インダストリアルナンバー「PINOA ICCHIO –躍るアトム–」では、Bメロで今井が「ICONOCLASM」のフレーズを忍ばせ、「楽園」の前に櫻井が鳴らす鈴の音は、より静寂を深めた。共に月に問いかける、男性性の強い「BABEL」と、女性性の強い「Moon さよならを教えて」との対比も印象的だった。「BABEL」では地を這うような樋口のベースイントロが重厚感を放ち、「Moon さよならを教えて」では水中にいるような音像の中、櫻井がしなやかにステップを踏んだ。

先にこのツアーを“史上最高”と書いたが、それは『No.0』の楽曲がもつ強さと、徹底した世界観を構築したサウンドメイクとパフォーマンス、そして、より深まった櫻井の歌の表現力にあると思う。

BUCK-TICK、デビュー30周年を飾る全国ツアーが超満員の国際フォーラムでフィナーレ!!樋口豊(田中聖太郎写真事務所)  画像 5/8

猛々しい王者にも、儚げな女性にも変化し、「ゲルニカの夜」では、「夢をね、見たんだ」と幼い少年に変わった。

兄や母を思う少年の日常が一瞬にして破壊されていく様を、スクリーンに描かれるサンドアートと共に、鬼気迫るヴォーカルでストーリーを表現していく。

歌に対する貪欲なアプローチが、聴く者を釘付けにした。本編ラストの「胎内回帰」はまさにその真骨頂。“爆撃機”や“美ら海”と具体的な言葉を使い、反戦への思いを込めたこの歌は、誰かを演じることなく、剥き出しの感情のまま吐き出される。心を揺さぶるそのリアルな声に、思わず感情移入してしまった。

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