そして終演から3時間後。同じステージでM!LK5人のラストパフォーマンスが幕を開けた。赤と黒に染められた先ほどまでと一転、昨年末にリリースされた1stアルバム『王様の牛乳』の白い王子様衣装に身を包み、ステージに立つ5人が振り返って始まったのは、3年前のCDデビュー曲「コーヒーが飲めません」。
「盛り上がっていきましょう!」と佐野勇斗が号令をかけて、いつも同じように元気よく、M!LKらしさ満点の愛らしいポップチューンで若さを弾けさせてゆく。しかし、ソロパートで山﨑が聴かせた低音ボーカルは着実に大人びて、デビューから3年の成長と進化を確かに感じさせてくれた。
続く「miruku!」は学校生活での経験を元に、M!LK結成以前に悠稀自身が作詞した楽曲で、10代の思春期ならではの甘酸っぱさは、まさしくグループと同じ名を持つ代表曲にふさわしい。センターで山﨑も活き活きと躍動的に踊ってみせ、曲終わりには配信を見守っているみ!るきーずのために、30秒のスクショタイムも。ステージ上に集まったメンバーは“可愛い”担当の山﨑にちなんで全員でブリッコポーズを決め、塩﨑太智が「ウチの悠稀可愛いでしょ」と呟くと、なんとメンバーからサプライズで4枚の寄せ書きが山﨑にプレゼントされる。み!るきーずからのメッセージがビッシリと書き込まれた緑の布に、メンバーからのコメントも書き入れられた幕は、佐野の言う通り「みんなの想いが詰まってる」もので、吉田仁人も「俺らもコレ読んだらヤバい」と漏らしたほど。もちろん山﨑は「家に持って帰る」と大喜びで受け取った。
続く恒例の自己紹介も「悠稀、大好きだよ~!」という塩﨑の叫びから始まり、佐野も「みんなが大好きハ・ル・キ」と今日だけのアレンジを。山﨑悠稀という人間が、どれほどメンバーに愛されているかを教えてくれるが、笑顔にあふれた通常モードもここまで。み!るきーずへのメッセージを山﨑が贈ると、メンバーの涙腺が次々に決壊する。
「ホントに僕のすべてがM!LKで、M!LKは僕の宝物だったなって思います。それはこれからも変わらないし、僕が新しい夢に向かってM!LKじゃなくなっても、今まで僕がいた期間がM!LKの4人の支えになったらいいなと思うし。これからは僕がいなくなっても、み!るきーずの皆さんが4人のことを支えてあげてください。ホントにたくさんの愛をありがとうございました。同じ空の下で僕も頑張ってるって想いを込めて、次の曲を歌いたいと思います」
そう語って贈られたのは、初期からファンに愛されながらも、未だ音源化していない幻のセツナソング「星空スコープ」。共に過ごした時間を糧に、それぞれ新しいページへと進んでいこうと歌うリリックは、今の5人に恐ろしいほどシンクロして、涙で歌えなくなる塩﨑の肩を、吉田と山﨑が抱き寄せるシーンも。板垣瑞生から繋ぐソロボーカルも、皆、涙に濡れて、それでも懸命に歌い上げる山﨑の歌声は、さすがメインボーカルとして長年M!LKを支えてきた力強さにあふれていた。“迷った時は この空をみつめよう”――そう5人で歌ったこの瞬間は永遠だ。
