「そう。再構築といっても、ニックが作ったミックスをなるべく壊さないようにしながら、僕の理想の形にしたっていう感じですけど。ニックはヒットメイカーで、いいサウンドを作るから、なるべくそこは曲げたくないんですよ。彼のサウンドを上手く活かした状態で、絶妙に僕のやりたい構成にしていったというか。でも、ときには妥協も必要だなと僕は思ってるけどね。妥協してよかったなって思ったことも実際に何回かあるから、結果として」
——それも最初におっしゃった“固定概念に囚われない”ことかもしれないですね。
「できる限りないほうがいいけどね。妥協し過ぎると、完全に自分の曲じゃなくなっちゃうから。自分の曲でもなく、自分が好きな曲でもないっていう(笑)。そんなのはダメでしょ?」
——完成した「WHO'S GONNA SAVE US」はHYDEさん自身、納得できる音になっていますか。
「もちろん! やっとできましたよ(笑)。ミックスを始めたのが3月くらいだから……ま、ニックも忙しいからずっとかかりっきりってわけじゃなかったんだけど、僕的には最初の目的は達成したかなって。ソロ再始動の第一弾シングルとして相応しい曲になったと思ってます」
——『UNDERWORLD』のやり方を踏襲するというのは、やはり目指しているのは世界水準のサウンド、アメリカで認知される音楽だということですよね。ただ、このシングル曲に関しては『UNDERWORLD』の単なる延長線上ではなく、より洗練された新しい世界が広がっている印象を受けたんです。アメリカンロックの王道でも、ごりごりのラウドミュージックでもない、ヘヴィだけれど端正なサウンドが少し意外でもあって。
「シンセとヘヴィロックを融合させた感じだね、今回は。もともとのデモはもっとEDMっぽかったんですよ。それをニックがロック寄りに音像をタイトにしていって、今の形はその中間かな。果たしてこの曲がアメリカ人の好みかっていうとまた別の次元だけど、キャッチーだし、自分の個性も出せていると思うし、自分なりにはいい方向なんじゃないかなって。ただ、今後発表していく曲はまた全然違うもの、バラエティに富んだものになっていくんですけど」
——そもそも曲作りはいつ頃から始められたんですか。
