「最後は祭ライブにふさわしい、あの曲しかありません!」と東山が叫んではじまったのは、大石昌良が手がけたカオスなロックナンバー「とおりゃんせ」。転調あり、ラップパートあり、コール&レスポンスありと、まさにドンチャン騒ぎ。金の紙吹雪が舞うなか、ドドンと障子に潔く「終幕」の筆文字が踊る、なんとも粋な演出で本編は終了した。
「アンコール!」の掛け声は、いつしか「なおぼう!」に変わる。リラックスした表情と法被姿で登場した東山は、そのまま自然体で「Chain the world」を歌唱。新たなフルアルバムの制作決定も発表された後、ペンライトで会場が真っ青に染まる「群青インフィニティ」へ。「ありがとうございましたー! わっしょーい!」と、大盛り上がりの「祭-Matsuri-」1部は幕を閉じた。
夜の2部では、メドレーパートが「そういう感じのn回目」以外は総とっかえ。「むてきなガール!」、「StarLight」、そして「Lost Thorn In My Side」という、東山厳選の「カップリング祭メドレー」は、昼とは異なるクールでグルーヴィーなダンスがまた楽しい。アンコール後の趣向も一味違っており、「祭ロングTシャツ」をアレンジして登場。ニコニコと、会場全体をゆっくりと見渡しながら「Growing」を歌った。
ここで、事前に告知されていた時間が訪れる。「声優・歌手東山奈央より大切なご報告がございます」として、会場からのYouTube生中継が予告されていたのだった。現場で、配信画面で、何が発表されるのかと固唾を飲んで見守った人も多かったことだろう。
「今日はですね、お手紙を書いてきました」と、笑顔で6枚の手紙を取り出した東山。「お知らせは、ふたつあります」と言葉が続く。「まずひとつめ。私は、来年の歌手活動10周年をもちまして、歌手活動をお休みすることにしました」──。
一瞬、会場から「(えっ……)」という戸惑いの声が漏れるも、誰もが静かに東山の言葉を受け止めていった。「自分で考えて自分で選択した」というその想いは、いまならばオフィシャルブログや東山奈央オフィシャルクラブ「虹のわっか」のブログにもアップされているので、ぜひ自身の目で確認してほしい。そこには、本当に楽しくて、全力で挑んできたライフワークとしての歌手活動だからこそ、100%で臨めない瞬間が訪れてしまう事態だけは迎えることなく、持続可能な歌手活動の道を模索していきたいという、東山の真摯な想いが滲んでいるように感じられる。
そんな彼女の真っ直ぐさは誰よりもファンたちが知っていることが、現場の空気から伝わってきた。全身全霊で、駆けて、駆けて、駆けまくってきた声優・歌手としての東山奈央の姿を、みんなが見てきたのだから。休む期間も、再開の時期もすべてが未定ながらも、歌手として「みんなと楽しく老後を過ごしたいという夢があります」と東山が笑顔で語った瞬間、会場中から優しい笑い声が聞こえてきたのは、その証左だ。
「そして歌手活動10周年ファイナルに向けて、私にはみんなと叶えたい大きな夢があります。もうひとつの重大なお知らせ。こちらをご覧ください!」という東山の声に導かれ、スクリーンに投影された映像。そこには、2027年3月11日という東山奈央の誕生日に、日本武道館で10th Anniv. Final Liveである「OVER THE RAINBOW」が開催されるという文字が──。喜びの、言葉にならない叫び声が、ライブ会場を揺らした。
2018年に日本武道館で開催された1st LIVERainbowを超えていくという意味で名づけられた、「OVER THE RAINBOW」というタイトル。「約束の地でお会いできることを、とても楽しみにしています!」と、満面の笑みで東山は語った。
「祭-Matsuri-」の最後を飾ったのは、武道館への思い出が詰まった1曲「君と僕のシンフォニー」。東山の表情も、客席から声援をおくる人々の表情も、そう簡単に断ち切られることなどありえない信頼の糸で結ばれているように見えた。曲の終わりに「みんなでいこう、虹の向こう側へ!」と東山は叫ぶ。そしてライブで恒例となった、レインボードッグスの面々の背面にガムテープで書かれた文字の発表には、和楽器奏者やダンサーの面々も参加。そこにあったのは、「いくぜぶどうかん」という8文字だった。
そう、このライブは、1年後の日本武道館に向けてみんなで一歩を踏み出す、大切なスタート地点だったのだ。虹の向こう側に至る、胸が躍るような瞬間へ、もう旅ははじまっている。
-セットリスト-
1.灯火のまにまに
2.ネバギバ音頭
3.君の笑顔に恋してる
4.メドレー
昼:オトメイロ/ Mode Style / I Want You To Know Baby
/そういう感じのn回目
夜:むてきなガール!/ StarLight / Lost Thorn In My Side
/そういう感じのn回目
5.春色
6.風空花人
7.ゆれる
8.涙のレシピ
9.歌声を目印に
10.FLOWER
11.ワゴン
12.(前略)全人類のファンファーレ!
13.OVER!!
14.とおりゃんせ




