父・尾崎豊の楽曲だけでセットリストを組んだ尾崎裕哉のコンセプトライブ第二弾!OZAKIがOZAKIを歌い継ぎ、無垢な魂の叫びが響き渡った夜――2月14日(土)WOWOWで放送・配信!<ライブレポート>
混迷の時代に希望と光を探し、歌を届けることを使命として活動を続けるシンガーソングライター尾崎裕哉。2024年に入ると音楽を志したきっかけでもある父・尾崎豊の作品と改めて向き合い、再解釈を試みた。それが尾崎豊の楽曲のみで構成したコンセプトライブ「OZAKI PLAYS OZAKI」だ。2025年12月には、その第二弾公演が東京・大阪で開催された。
【写真】コンセプトライブ「OZAKI PLAYS OZAKI」だ。2025年12月には、その第二弾公演が東京・大阪で開催された尾崎裕哉(2枚)
12月9日、東京国際フォーラム・ホールC。会場には早い時間から多くの観衆が駆け付け、期待の熱気が渦となって初冬の寒さを吹き飛ばしていく。開演前、エントランス付近には人だかりができていた。本公演で初公開された「Resonance Board(レゾナンスボード)」を、多くの来場者が足を止めて見つめていた。そこには歌詞の断片やキーワード、問い、時代背景への考察、そして自身への投げかけが幾重にも書き込まれている。父の言葉をそのまま受け取るのではなく、自らの身体と言葉で咀嚼し直し、現代にどう響かせるか――その試行錯誤の軌跡が刻まれていた。それは父と向き合う記録であると同時に、尾崎裕哉が尾崎裕哉であるために続けてきた対話の痕跡でもあった。
定刻を過ぎると、高鳴る鼓動のようなBEATが刻まれる中、尾崎裕哉が登場する。満場の拍手と歓声にもっと!もっと!と煽る勢いそのままに「十七歳の地図」を歌う。笑顔の奥に、思いを届けようという強い意思が感じられる。その思いを、オーディエンスもボルテージの高い叫びで受け止める。
間髪入れずに続けたのは「路上のルール」だ。明日へと踏み出す決意を散文詩のような歌詞に託して放つ。歌いながらリズムを取りステップを踏むその動きは、楽曲が持つ衝動性を体現するようでもある。続いて披露されたのは「街角の風の中」。メランコリックなメロディとフォークロック調のサウンドに乗せて郷愁を描いていく。青いOvation Adamasを弾きながら歌う姿は、記憶をなぞるのではなく、いまこの瞬間に楽曲を鳴らす意志を感じさせた。
「僕が僕であるために」では、自身のアイデンティティを探しながら、社会の喧騒に飲まれることなく勝ち続けることを誓う。西本明の厳かなキーボードのフレーズは、その背中を後押しするエールのようだ。アルバム『十七歳の地図』のマスターテープに収められた当時の息吹がそのまま伝わるような瑞々しさがそこにあった。
ピアノの前に座ると、自らの葛藤や逡巡を語る。内省的な視点で紡がれる言葉が聴き手の胸に沁み込んでいく。そして、ピアノを弾き歌い出されたのは「卒業」。誰もが人生の岐路に立ち、幾つもの卒業を重ねていく。ステージと客席で声と心をひとつにして、すべてを祝福する荘厳な風景が繰り広げられた。
スペシャルゲストとして本多俊之が呼び込まれ「太陽の破片」が演奏される。イントロから祈りや願いが込められたサキソフォーンが全開となる。ラストの二人での掛け合いでは、12インチシングルのジャケットビジュアルを想起させるようなスポットライトの演出も見事だった。至高のバラード「Forget-me-not」では、心のぬくもりさえ伝わるような繊細なキーボード伴奏に艶やかなヴォーカルが混じり合い溶け込んでいく。


