父・尾崎豊の楽曲だけでセットリストを組んだ尾崎裕哉のコンセプトライブ第二弾!OZAKIがOZAKIを歌い継ぎ、無垢な魂の叫びが響き渡った夜――2月14日(土)WOWOWで放送・配信!<ライブレポート>
圧巻は「15の夜」だった。ティーンエイジャーのバイブルとして大人への反発がフォーカスされることが多いが、特に秀逸なのは自由になれた気がしたというラインだろう。衝動と表裏一体の諦観がそこにある。この夜の歌はその葛藤を見事に表現されていて、重層的な心象風景がリアルに伝わってきた。
「Freeze Moon」では、聴衆の胸を激しくかき立てる古川望のギターリフに、フリーキーなサックスが重なっていく。タケルのスキャットとハーモニーも深い彩りを加える。ひざまずき、うつむき、虚空を見上げて叫ぶ。頭上に銀色の紙吹雪が舞い、照明が鮮やかに色合いを変えていく。天に届かんとばかりに力強く右腕を掲げるその姿が頼もしかった。
「Driving All Night」では、ギターを背中に回して、言の葉を研ぎ澄ましていく。時に全身でリズムを取り、時に自分の内面をみつめるように下を向き歌う。凄腕のバンドメンバーに支えられながら、走り続けることを表明するかのような骨太なパフォーマンスに痺れた。
宮川剛のドラムスがリズムを刻み、本田達也のグルーヴィーなベースラインが疾走したのは「Scrambling Rock'n'Roll」だ。至極のロックンロールに、会場全体が高揚に向かって加速度を増していく。熱いコールアンドレスポンスから感極まり、客席に飛び降りて走り回る。ほとばしる汗がそれぞれの生を祝福するかのように輝いていた。
本編最後は、生前に尾崎豊のコンサートでは披露されることが無かった「汚れた絆」だった。前曲までの弾けまくったアクションから一転して、尾崎裕哉は舞台中央に立ち何かを胸に刻み込むように歌う。表層的な部分ではなく、あくまで本質を探究しようとする深い思慮が感じられて嬉しかった。交錯する熱烈なアンコールを受けて、再び青いOvation Adamasを爪弾きながら歌い始めたのは「シェリー」だ。珠玉の名曲を一語一語噛み締めるように歌う。まさに大団円とも言えるような大きな感動に包まれたひとときだった。
この夜最大のサプライズは、父・尾崎豊の創作ノートからみつかった未発表作品「Say good-bye to the sky way」だった。子供の頃、尾崎裕哉は「いつかこの曲にメロディをあてたい」と思い眠りに就いたところ、夢の中でメロディが降りて来たという。西本明と共に創り上げたサウンドで、最後に遺された言葉を丁寧に綴っていく。言葉にならない深い余韻がしばらく残った。この作品については現時点では音源としてのリリースや放送・配信の予定が無く、コンサート会場でしか聴くことができない。この夜の感動をひとりでも多くのかたに尾崎裕哉のライブで体感して欲しいと願うばかりだ。
アンコール最後は日本の音楽史に残るバラード「I LOVE YOU」。この夜の歌は、楽曲の持つ純度の高さそのままに、震えるほどの輝きに満ちていた。父・尾崎豊が遺した音楽を継承しようと真っ直ぐに向き合う尾崎裕哉。その壮絶な格闘が、シンガーとしてパフォーマーとしての彼を高い次元へと引き上げている。透明感の高いヴォーカルの中にも、人生の苦みや重みといったニュアンスが感じられたことがその証だ。また、歌の魅力を存分に引き出した熟練のミュージシャンたちのプレイも素晴らしかった。


