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昨年の12月21日、ヒューリックホール東京で『May'n Xmas -the Brightest-』が開かれた。May'nにとってアーティストデビュー20周年という大きな節目を駆け抜けた2025年。まずは、5回目を迎えたアコースティックライブツアー『Hang jam』を2・3月に、May'n とシェリル・ノーム(『マクロスF』登場キャラクター:May'nが歌唱を担当)という歌手ふたりの両側面を2夜で見せた20周年記念ライブ『With you -Sheryl On Stage-』『With you -May'n Space-』をパシフィコ横浜で5月に開催。8月には、青森ねぶた祭に参加&特別ライブ『らっせーら!』開催に加えて、20周年ベストアルバム『TWENTY//NEXT』もリリース。それ以外にもアニソンフェス・イベントに参加し、駆け抜けたアニバーサリーイヤーの締めくくりがこの夜だった。だが、それに留まらず、20年という濃密なシンガーライフの結晶であるとも感じさせていた。2026年3月から始まるベストツアーを目前に控え、May'nは21年目に向けての力強い一歩を踏み出そうとしていた。
【写真】ヒューリックホール東京で『May'n Xmas -the Brightest-』を開催したMay'n(5枚)
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開演前、ライブ会場に「Santa Claus is Comin' to Town」が流れる中、開演時刻が近づくとゆっくりと明かりが落ちていき、それを見計らってバンドメンバーのシルエットがステージに集まってきた。アコースティックギターがイントロをつまびき、そこにピアノが加わりながらAメロへと進むと、観客たちはその曲が「Last Christmas」だと気づく。ウインドチャイムの清らかな音色、アコーディオンの切ない響音、そしてついに下手からMay'nのシルエットがステージに現れる。大きな拍手で迎え入れる会場。ラスサビから歌い始めたMay'nの「Last Christmas, I gave your heart」という歌詞が耳に染み込む。2018年から始まったクリスマスライブ「May'n Xmas」だが、今年で一旦の終幕を迎えることは昨年の『May'n Xmas』ですでに発表済み。思い出に残る一夜にしようとするMay'nの決意が感じられる。
だが、すぐに「take take take take take me out」という快活な歌い出し。『May'n Xmas』では最後に歌ってきた「サイレントでなんかいられない」がここで登場する。「ラストクリスマス、みんな思い切り楽しみましょう!」と声をかけるMay'nは、客席に向かって立ち上がるように腕も振った。軽やかなピアノ、裏拍の効いたドラム、パーティ気分で誰もがクラップしていく。ビートに合わせてMay'nも、タンバリンを持ちながら片足を跳ね上げて歌っている。曲がフィニッシュを迎えると、May'nからは「『May'n Xmas -the Brightest-』へようこそ!」の声。だが、間を空けずにバスドラがリズムを作り、ギターのカッティングが聴く者からクラップを引き出す。そして一瞬のミュートの後、May'nの唇からあの歌が流れ出した。「What 'bout my star?」。その歌詞が繰り返される数だけ心は弾み、高揚し、会場は多幸感に満たされていく。下手にゆっくりと歩きながら歌詞で問いかけるMay'n。どうしたいの?私に何ができるの?May'nらしく頼もしく、歌でファンたちとの距離を詰めていく。両手でのワイパーもこの楽曲の楽しみどころ。それでも間奏のアコーディオンがクリスマスを色濃くし、楽曲に温かみを与えていく。2番途中からは上手で客席の心に寄り添っていくMay'n。だが自身を「部長」、ファンを「部員」と称するMay'nらしく、ここでハードルの高い要求を部員たちに命じる。客席を中央、上手、下手の3グループに分けたあと、それぞれに別パートのコーラスを担当させる。中央は主メロだが、上手はハモリパート、下手はさらにハイトーンなハモリパートだった。必死についていくファンに対して「合ってる合ってる」「自信持って」と励まされながら練習回数をこなしていく姿はまさに部長だ。3パートのコーラスを形に仕上げると、想像以上に渾然一体となった大所帯のコーラス隊を背にMay'nが気持ちよく歌い上げる。その想いは、手を宙に突き出してフィニッシュを決めた姿からも伝わってきた。Xmasライブながら序盤から立ち上がり、かつハードな要求をやり切った観客たち。昂った気持ちは抑えきれず、ライブが始まったばかりとは思えぬ万感の歓声と拍手が渦を巻いた。そんな中、May'nはグロッケン(鉄琴)でイントロを奏で、アコーディオンがそれを受け、元気を与えてくれる「ViViD」が始まった。やはりステージ上を下手、上手と移動しながら客席をしっかり見つめ、一転、大人な空気をまとうサビでは体を揺すりながら歌ってみせるMay'n。
大いなるひと盛り上がりの末、MCで会場が一息つく。May'nはあらためて、今年が20周年という特別な年であり、この夜が最後の『May'n Xmas』であることを伝えつつ、「もう暑いですね」「最初からクライマックス」と感想を告げ、「最高にカラフルなXmasになりそう」と手応えを話す。バンドメンバーである「TEAM ONGAKUSHITSU」(G. 田口慎二、Dr.&Per. 早川誠一郎、Pf. 大坂孝之介、Acc. 桑山哲也)を紹介すると、May'nは手にライブタオルを。盛り上がりが続くことを確信した会場にMay'nは放つ。「クリスマスは、チキンとかケーキとか、食べたくなりませんか?」
アカペラでのロングトーンから始まったのはタオル回し曲の「DOLCE」。アコーディオンのハネるイントロを経て、May'nがノリノリでサビを歌えば、客席も慣れたコールを返す。歌い終えたMay'nが「ありがとう!」と締めると、今度はブルースなアコギのイントロが。妖艶なアレンジが大人なMay'nを引き出す「ゴ~~ジャス」。ギター、ドラム、ボーカル、各パートが少しずつ自分を表現するようなショートなソロを見せたあと、吸い込まれるようにステージ上の全員が息を合わせる。続いて、不穏なピアノイントロが女性の狂気を漂わせる「シンジテミル」をベストアルバムのアレンジで。地を這うようなバスドラとフロアタム、その上をピアノが旋律を舞わせる。後半に近づくと曲全体が軽妙さを持ち始め、不穏さは姿を消して幻想的な音楽が広がっていく。ラストのボーカルもハイとローが融合したような魅惑的なボーカルだ。





