2025.12.29 公開
ACIDMAN、オリジナルアルバム『光学』のリリースを記念したライブ『「光学」全曲初披露ライブ&第2回壇上交流会』東京・大阪両公演大盛況のもと閉幕!<オフィシャルライブレポート>

ACIDMAN(C)Victor Nomoto - Metacraft  画像 1/3

ACIDMAN が、2025年10月に4年ぶり通算13枚目となるオリジナルアルバム『光学』と、トリビュートアルバム『ACIDMAN Tribute Works』を同時リリースした。

【写真】2025年10月に4年ぶり通算13枚目となるオリジナルアルバム『光学』と、トリビュートアルバム『ACIDMAN Tribute Works』を同時リリースしたACIDMAN(3枚)



それを記念したライブ『「光学」全曲初披露ライブ&第2回壇上交流会』が、同年12月7日に大阪・Zepp Osaka Bayside、12月20日に東京・Zepp Hanedaで行われた。タイトル通り本公演は、アルバム『光学』を最初から最後まで一曲も欠かすことなく披露する、極めてストイックなコンセプトを掲げたものだ。

筆者が観たのは東京公演。会場に足を踏み入れてまず目に入るのは、アンプ、ドラムセット、マイクスタンド、エフェクターボードのみが配置された簡素なステージだ。ステージ上の照明装置も最小限で、背後のスクリーンにはアルバムタイトル「光学」の文字だけが浮かび上がっている。さらに印象的だったのは、客入れのBGM。時おり船の汽笛のような音が響くだけで、場内を満たすのは観客のざわめきのみだった。今日がアルバムの世界観に没入するための場であることを、バンドは開演前から示しているかのようだった。

定刻になると、スクリーンの「光学」の文字が粒子状に崩れて画面いっぱいに拡散していく。アルバム冒頭を飾るインスト曲「光学(introduction)」が流れるなか、全身を白で統一した大木伸夫(Vo, Gt)、佐藤雅俊(Ba)、浦山一悟(Dr)が手を振りながら登場すると、客席から大きな歓声が上がった。

間髪入れずに演奏されたのは「アストロサイト」。脳科学者・毛内拡との対談にインスパイアされ、星状膠細胞(星のような形をした細胞の一種)の名をタイトルに冠したファンキーチューンだ。軽やかに刻まれるギター、浦山のタイトなリズム、その上を縫うように佐藤のベースがうねる。前作『INNOCENCE』以降で培ってきたグルーヴ志向のアレンジをさらに推し進めつつ、間奏ではシューゲイズ的なアプローチによってACIDMANらしい陰影を残す。

続く「go away」では、歪んだギターのカッティングが会場をざくざくと切り裂いていく。〈いつの時代も変わんなくて〉〈誰でもいいから水をくれ〉と、分断と争いが絶えない世界への苛立ちを吐き出すような大木の歌声に、オーディエンスは拳を突き上げて応えている。

この日の公演について大木は、「アルバムは映画のようなもの。1曲目から世界が始まり、巡り、終わりを迎える。そのイメージを、今回はそのまま皆と共有したかった」とMCで語った。過去曲や定番曲を一切演奏せず、アルバム収録曲のみで構成する──そんな、大木いわく「エゴイスティック」な企画についても、「それでも、こんなにもたくさん集まってくれたことが何よりありがたい」と感謝の言葉を口にした。

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