1人ずつお茶目に自己紹介をし、「秋だね〜」と観客と緩く話しかけるような口調でZIPANG OPERAらしいMCタイムがスタートすると、初のスタンディングスタイルでの開催にZeppならではの距離感でANCHORと交流をする場面も。spiが「新体制になったとはいえ、やっていることはあまり変わらなくて1曲1曲に対する想いだったり、エールだったり、痛みだったり、苦悩だったり、共感していただける部分っていうのは皆さんの人生の彩りになってもらえたらいいなと思いつつ、ZIPANG OPERAのライブに行くためにこれからも頑張ろうって、生きててよかったなってみんなに感じてほしくて、なんとしてでもライブをしようと、皆さんの力になりたいし、自分たちも力をもらいたいなと思って開催しました。これからもZIPANG OPERA頑張っていくので、僕たちのこと応援してください_____、と楽屋で流司が言ってました」とライブ開催への思いを語り、笑いも誘いながらまとめ上げた。
ここから後半戦。人気曲『STEER THE SHIP』で、新たな航路に舵を切ったZIPANG OPERAを後押しするかのように、ANCHORたちのペンライトが揺れる。間髪入れずに続く『Higher Ground』では福澤が「ペンライトの色を赤色に!」と呼びかけ、赤く染まった会場でメンバーも一緒にペンライトを握った。佐藤の高音とエッジの効いたラップのコントラストが楽曲を際立たせると、続く『DRAMA』で、テンポよくリズムを刻み、ノンストップで深みへ誘う。そして、「みんなで楽しむだけ!」とEP収録の新曲『It's All Mine』が続く。メンバー主導で作成した曲だけあって、遊び心あふれる音に、撮影したり、それぞれが好きなようにノリノリな姿をみせたりと、ステージを広く使い盛り上げる。
サポートダンサーのパフォーマンスパートを挟み、真っ白な衣装で1人ステージに現れたのは佐藤。ソロ曲『シンギュラリティサーカス』のイントロが流れると歓声が上がる。ハットを被ったダンサー陣と共にでメッセージ性の高い曲をショーのようなステージングで展開する。続いて同じく白の衣装を身に纏った福澤とspiがデュオ曲『Shape of Love』を披露。近未来を感じさせるようなスピード感あふれるサウンドで2人の表現を存分に魅せる。
そして、再び全員揃ったステージでZIPANG OPERA唯一のタオル曲『Bangin'』。ギアの上がった熱気が会場を支配すると、続く『KAMINARI FLAVOR』では3人の息のあったパフォーマンスが一体感を加速させる。ビリビリと次々に繰り出される衝撃と余韻を残すフレーズを畳み掛ける中、本編ラストを飾るのはライブリミックスバージョンの『開華』。「大阪最後まで盛り上がっていけますかー!」と佐藤が煽り、ボルテージも最高潮に。ZIPANG OPERAの多才さと華やかさを象徴する1曲を歌い切ると3人はステージを後にした。
程なく始まった観客のコールの中、オフィシャルグッズのTシャツに着替え、ボールとバットを持った3人が登場。福澤が片手でバットを持ち、ピッチャーには佐藤、キャッチャーのポジションにはspiが構えると投球練習を開始。何度かの練習を経て、福澤のナイスバッティングが袖に向かって決まるとWe won't back downと『Fight Hard』でアンコールがスタート。サインボールを投げながら、王道の盛り上がりソングに観客のテンションも再び弾ける。その勢いのまま『Day by Day』ではステージ上から一人一人と目を合わせるように歌うメンバーたち。いよいよ迎えるライマックスに観客も手を掲げ、その熱量に応える。最後は『Get Over』。限られたこの瞬間を確かめるようにしっとり歌い上げ、今年初のライブに新たな旅の決意添えて締めくくった。
ZIPANG OPERAが紡いだ時間は、彼ららしい多彩なステージに緻密な表現と緩急に富んだ展開が織り重なり、今年も唯一無二の物語を描いて観客を魅了した。確かな軌跡と共に、始まったばかりの新たな航海。心を震わせる瞬間に何度でも共鳴しながら、その続きの景色をこれからも見届けたい。





