そのままノリノリのドラムから滑り込むように始まったのは『For divers area』。力強く刻まれるビートに、観客も全身でリズムを刻みながら手を振って応える。客席後方まで腕が揺れ、サビではフロア全体が大きな波のようにうねる。音と身体の一体感を感じさせる、ライブバンドとしての真骨頂を見せつける場面だ。
空気を切り裂くようなイントロとともに『ROCKET DIVE』へとなだれ込むと、会場のボルテージはさらに急上昇。攻撃的かつキャッチーなサウンドに、フロアはジャンプとシンガロングの渦。世代やジャンルを超えて愛されるロックアンセムが、氣志團万博という特別な空間で大きく羽ばたいた瞬間だった。
一息つくように空気感が変わったかと思えば、そこから披露されたのは『Jump』。イントロが鳴り出した瞬間に上がる歓声が、その人気ぶりを物語る。序盤は抑えたグルーヴでじわじわと熱を高めながら、中盤以降で一気に解放。タオルを振り回す観客、拳を突き上げる観客、それぞれが思い思いに身体を揺らし、サビではフロア全体がその名の通り「ジャンプ」で揺れ動いた。
MCではKjが、「最後まで楽しんでいってください」と呼びかけ、会場からは大きな拍手と歓声が返ってくる。熱狂の中にも、フェスへのリスペクトとオーディエンスへの感謝がにじむ言葉に、客席からは温かな空気が広がった。
そんなムードのまま届けられたのは、名曲『百合の咲く場所で』。これまでのアグレッシブなナンバーとは一転し、切なくも力強いメロディが会場を包み込む。観客は拳を上げる代わりに、そっと手拍子で応え、歌詞に耳を傾ける。ステージ上のスポットライトと、客席のスマホライトがゆっくりと揺れる光景は、まさにドラマチックの一言だ。
Dragon Ash<サントリー オールフリーpresents 氣志團万博2025 関東爆音パビリオン powered by Epson>(撮影:平野タカシ) 画像 3/3
そこから一気に空気を塗り替えるように、再びギアを上げて突入したのが『FANTASISTA』。イントロが鳴り響いた瞬間、フロアからは悲鳴にも似た歓声が上がる。「2002 FIFAワールドカップ」を通じて多くの人の記憶に刻まれたキラーチューンは、今なおライヴで圧倒的な破壊力を誇る。サビでは大合唱が巻き起こり、ジャンプの波が前方から最後方まで連鎖。会場全体がひとつの「チーム」になったかのような一体感に、ステージと客席の境界線は完全に溶け合っていた。


