そのまま繋ぐように『MUSIC FOR THE PEOPLE』のイントロが鳴り響くと、客席からは悲鳴にも似た大歓声が飛び出す。90年代から現在まで、長きにわたり愛されてきたアンセムがフェス会場で鳴り響く瞬間は、まさに事件級。3人の声が重なるたび、フロアのあちこちで拳が突き上がり、サビでは観客が体全体でリズムを刻みながら、一心不乱に歌い続ける。続いて披露された『Theme of Coming Century』では、疾走感あふれるサウンドに合わせて客席もジャンプの波が起こり、世代を問わず笑顔が弾ける光景が広がった。
20th Century<サントリー オールフリーpresents 氣志團万博2025 関東爆音パビリオン powered by Epson>(撮影:中野修也) 画像 3/9
ここで再びMCパートに。ステージに現れたのは、このフェスの主催である氣志團・綾小路翔。「来てくれると思わなかったよ」と、20th Centuryが氣志團万博にいることへの感激を、隠すことなく言葉にする。そして、ゆっくりと『WAになっておどろう』のイントロが流れ出すと、客席から自然と手拍子が起こる。氣志團も、トニセンも、会場にいる観客も。ステージとフロアの境目が消え、全員が大きな「WA」になって歌い、踊り出す。肩を組む人、手を取り合ってジャンプする人、涙をぬぐいながら笑顔を見せる人。そのひとつひとつが、フェスという空間が生み出す魔法のような瞬間だった。
会場の幕張メッセは、V6が解散コンサートを行った、3人にとってもファンにとっても特別な場所。そして、2021年に3人で20th Centuryとして再始動したあと、初めて披露した曲が『夢の島セレナーデ』だったという。ラストナンバーとして同曲のイントロが流れた瞬間、会場の空気は一転してしっとりとしたムードに包まれる。
柔らかなハーモニーに乗せて紡がれる歌詞が、これまでの歳月や、ここまで共に歩んできたファンとの記憶をそっと撫でるように会場を満たしていく。噛みしめるように目を閉じて聴き入る観客、静かに手を振る人、そっと涙を拭う人。それぞれの胸の中にある「V6」と「トニセン」の記憶が、曲とともに蘇っていくようだった。







