美しくも儚く切ないピアノとストリングスの音色が場内に響きだす。sumikaは哀切な心模様を描きだすようにバラードの『チョコレイト』を歌いだした。甘い甘いチョコレートにビターな想いを重ね合わせて彼らは届けてきた。巧みに韻を踏んだ歌詞が、より切なさに拍車をかけていく。愛しい人らに向けて優しく手を伸ばして歌う片岡健太の甘い歌声と、彼の歌声にドラムの荒井智之とキーボードの小川貴之が重ね合う美しくもビターなハーモニーが、胸をキュッと締めつけた。

メンバーらの歌う「Oh!Oh!Oh!Oh!」の声に合わせて場内中からも声が上がる。熱い想いを胸に駆けだした『Starting Over』に導かれるように、会場中から熱い手拍子が鳴り響く。さぁこのまま3人と一緒に、最高に夢あふれる歌の風が導く方向へシンガロングしながら進もうか。メンバーらへ向けた無数の手が場内中から上がり、大きく揺れていた。「ドリーマーゆこうか 高鳴る方へ」の言葉通り、喜びや悲しみも全部持って、sumikaと一緒に僕らだけの最高のストーリーを作ろうじゃないか。そんな気持ちに染まっていたことが、本当に嬉しかった。

TEXT:長澤智典