2025.08.10 公開
【ライブレポート】超特急・全国4都市8公演にのぼるツアーのファイナル公演をグループ史上最大キャパシティとなるさいたまスーパーアリーナスタジアムモードで開催!

超特急『EVE』(C)米山三郎・笹森健一  画像 1/6

美しい空気をブチ壊すように、突如、アリーナ客席にはサングラス姿のアロハ、革グローブをはめたマサヒロ、メガネをかけたカイが登場。普段とは違うワイルドな装いで「Turn up」のマイクを握り、客席通路を堂々と練り歩く。センターステージに到着してからは、どれだけ挫折し打ちのめされても這い上がってきた己と、夢見たあの場所へのリアルな願いを熱のこもったラップで発射。カイは8号車、Are you ready? 連れて行くぜ……D・O・M・E!と力強く宣言し、上昇するステージから「まだまだこんなもんじゃねぇよな!?」(アロハ)、「3万人の声、聞かせて見ろ!」(マサヒロ)と煽り立てれば、満場のペンライトが振られた。  

はかなさ、激しさと両極の表現の次に提示された超特急の顔はコミカル。メインステージにシックなシャケットスタイルのリョウガとハルがせり上がり、スタンドマイクで「STYLE」を生歌唱すると、普段はダンサーに専念している2人の見事な歌声を聞かせる。そこからLEDに雪が舞う中で「Snow break」に続き、ボーカルの座を2人で奪い合う茶番が今ツアーの恒例となっていたが、8日の千秋楽では2人で仲良くユニゾンして場内は大喝采。しかし、曲終わりに雪の中に2人崩れ落ちれば、なんとタカシが決め顔で登場して場をかっさらい、ハルは「アーッッッ!!」と悔しそうに雄叫びをあげる。そして「8号車のみんな、愛してるぜ!」(タクヤ)と、EP『Why don’t you 超特急?』のリード曲でもある正統派の甘いラブソング「キャラメルハート」へとなだれ込み、指ハートやウインクも交えて8号車を蕩けさせていった。さらに、キュートな振り付けで話題となった「My Buddy」で「さいアリ!」「8号車!」とコールを入れながらセンターステージへと進めば、場内で揺れるペンライトが イロトリドリ光る いのちの瞬きという歌詞を視覚で再現。超特急のライブにおけるペンライトの光は8号車1人ひとりの存在を示しているものなのだと実感させ、ステージに上がったカメラはメンバーの命の証である笑顔を生々しく捉えていく。そこからなだれ込んだ「Jesus」も、新体制のライブでは今ツアーが初お目見え。にもかかわらず、客席からは絶妙のタイミングでコールが湧き、超特急と8号車の絆の強さを感じさせた。

ここでLEDにはユーキ、シューヤ、ハルは車の修理工、タクヤとタカシはサラリーマン、リョウガは喫茶店のマスター、カイ、マサヒロ、アロハは道路工事現場の誘導係として働くドラマが。それぞれが理不尽な状況や報われない日々、仕事の辛さに苦悩しながらも、互いに助け合い、なんとか乗り越えて「いつか絶対一緒に音楽をやろう」と約束する。彼らは別次元に存在する超特急のifであり、バラバラになった9人の魂が転生した姿なのかもしれない――そう思わせたところで、「a kind of love」からライブも後半戦へ。超特急が大きなターニングポイントを迎えたとき、隣にいる君への感謝をあらためて歌った温かいナンバーが示すのは、1つひとつの出会いへの感謝だ。それを考えると、ユーキが最も付き合いの長いリョウガに抱きついたアクションも熱い。また、タカシとシューヤのボーカル2人だけが残った「EBiDAY EBiNAI」では、ピアノとストリングスをメインにアレンジされたトラックに乗せ、ため息つく毎日でも新しい扉を開けに行こうと歌い上げる。伸びやかな歌声で丁寧にメロディを辿るタカシに、ハイトーンでフェイクやロングトーンを響きわたらせるシューヤのツインボーカルは、シューヤ加入からの3年で自由度と完成度を増し、エモーショナルなパフォーマンスには大きな拍手が贈られた。さらに2人が歌うステージに1人ずつダンサーが加わって、心温まるテンポに乗せてあきらめないという超特急のポリシーを綴っていったのは「君と、奏で」。シューヤが「みんなの声、聞かせて!」と呼びかけると、場内にはlalala…の大合唱が広がり、共に手を大きく振って歌うeverything will be alrightのメッセージが8号車の心を励ましていく。このブロックの3曲に共通するのは君に対する歌であり、思い通りにいかない現実を受け止めながらも、それでも希望を捨てないという超特急自身の生き様だ。

それを証明するように再び映し出されたドラマでは、先ほどの9人が居酒屋に集い、談笑する場面が。「みんなそれぞれの場所でもいろんなことと戦ってるんだね」(タクヤ)、「離れ離れでも、みんながいたから頑張れたんだなぁって」(アロハ)、「ミスったぶんだけ、笑い話ができるって感じかな」(カイ)、「ここからだな。マジで」(ユーキ)といった台詞は、超特急自身の歴史と今に重なっている。そして「どんなときもつながってた、最高の仲間に!」(シューヤ)と乾杯すると、画面には再び集った黒衣の9人が映り、並んで前へと歩き出していった。

ここからは決意を胸に進んでいく超特急の勢いが爆発。メンバーカラーを彷彿させるカラフルな照明とレーザー光線による華やかな光のショーで客席の目を奪い、「さいたま!ラストスパート、まだまだいけるよな!」と、超特急特有のダサかっこいいライブ鉄板曲で8号車を熱狂させるスペシャルメドレーが開幕する。音玉とスパークラーの火花で幕開けた超ライブ鉄板曲「超えてアバンチュール」から、9人が5つのトロッコに分乗してアリーナ客席の通路に乗り出し、リョウガが「頭、振ってくれ!」と叫べば、客席は頭とペンライトを振りたくる。そのまま続いた「SAY NO」でもアリーナ最後方まで移動してコール&レスポンスを誘い、千秋楽の8月8日には「8号車!」「ありがとう!」「愛してる!」のコールで8号車の日をお祝い。さらに、昨年来音楽番組を席巻した「ジュブナイラー」と超特急のキテレツ曲を畳みかけ、広大なアリーナをくまなく周回し、高速リリックにメンバー名が組み込まれた「Secret Express」でも8号車は完璧なメンバーコールを差し込んでいく。そしてトロッコがメインステージに戻ると、阿波踊りをモチーフにした「AwA AwA」から、ダンスとヘヴィメタルを融合してコミカルに仕上げた「メタルなかよし」と、超特急らしい癖の強い曲を息つく間もなく連投。スパークラーの火花とLED上の炎が燃え盛るなか、楽曲センターのリョウガはシャウトをかまし、マサヒロはエアギターで8号車の拳とヘドバンを煽り立てた。これまた今ツアーが現体制での初披露となる「Drawイッパツ!」でも、凄まじい音圧でかっとばせ!超特急!と熱い8号車のコールが湧き、センターステージにダッシュして手をつないで円になって、元野球部のマサヒロを筆頭に大騒ぎで楽しんでいく。トドメとばかり、ハルが「もっとみんなで盛り上がるよ!」と号令をかけてからは、超特急ライブの必須曲とも言える「Burn!」が炸裂。メンバーも8号車もひとつになってバッテンダンスを繰り出し、日替わりで歌唱メンバーが変わる大サビを8月7日はリョウガ、タクヤ、シューヤが、千秋楽は8号車の日ということで当然8号車とメンバー全員で大合唱して、3万人で心を1つにしていった。

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