大黒摩季が、全国ツアー『MAKI OHGURO LIVE TOUR 2025 -55 BLACK-』を完走!
昨年2024年は、大黒曰くサブカルチャー&吸収Yearということで、様々なイベントやテレビ出演・TBSテレビ 日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』でのドラマ初出演・ボランティア活動など、新たな挑戦と新たな経験による吸収活動に徹していたこともあり、全国ツアーとしては2022〜23年の30周年記念SPARKLEツアー以来2年ぶり。その余波と熱い大黒摩季LIVEへの飢餓感からか、2025年の全国ツアー前半戦『MAKI OHGURO LIVE TOUR 2025 -55 BLACK-』では、4月26日のスタートからチケット完売が続出、アーティスト大黒摩季LIVEへの期待感の大きさと、今も変わらぬ唯一無二の存在感を示しながら回を重ねるごとに進化とパワーアップし続け、疾風の如く全22都市を一気に駆け抜けた。
『MAKI OHGURO LIVE TOUR 2025 -55 BLACK-』(※提供画像) 画像 2/6

その最終公演となった8月2日の福島県・會津風雅堂には会場を埋め尽くすコアファンが集まり、会場は熱気と感動に満ちあふれていた。「ら・ら・ら」では、この日の出演メンバー、柴田敏孝(BAND MASTER・キーボード)、大島こうすけ(キーボード)、佐藤タイジ(ギター)、北川遊太(ギター)、徳永暁人(ベース)、小林秀樹(ドラム)、Asami(コーラス)に加え、これまでに幾度となくローテーションしてきた大賀好修(ギター)、星野李奈(ベース)、清水俊也(キーボード)も加わり、ツアーラストを飾るにふさわしい一大セッションが繰り広げられた。
「14年前の東日本大震災の時、私は病気療養中できっぱりと大黒摩季稼業を閉じていたんですけど、私の初代マネージャーが浪江生まれでそこの皆さんも知っていて。オペの前で時間もあったのですぐに手伝いに飛んで行きました。その時、避難所に行ったり炊き出しをしたりして。避難所の炊き出しの現場で、私が皆さんを応援に行ったのに、ご年配の方たちが「摩季ちゃん病気大丈夫?応援してるからね。一緒に頑張ろう」と、みんな私のことを応援してくれるんです。自分が一番お辛いのに。その時の福島の皆さんの愛と懐の深さと、強さは私の体の中にしっかりと残っています。そしてそのおばあちゃんたちが「私たちは必ず復興するから、摩季ちゃんも体を復興してね。そしていつの日か楽しいばっかりのコンサートを開いてね。行きたいからね」って言われたんです。途中色々ありましたけど、今日の私は病気も超えていろんな目分の弱さも踏み越えて最強です。本当にこの感動の「ら・ら・ら」を福島の皆さんと一緒に歌えた喜びがどれほどか…!最高でした!未来っていいね。ありったけのパワーを送ったので今日キャッチした皆さん、ご近所さんに少しずつ分けてあげてくださいね。
今日、再び福島の皆さんに会えて、「ら・ら・ら」を歌えて幸せです。本当にありがとう。私も歌ってきて良かったです。」
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と涙ぐみながらも笑顔で語り、深く長く続けたそのお辞儀、それだけで彼女の福島への底知れぬ愛情と想い、大黒摩季という「人」を見たような気がする。
アンコールラストでは新曲「イチヌケタ」のSingle Edit ver.を再び披露。
「私は小さい頃ぶきっちょで、人と話すのが苦手で、いつも隠れてばかりでした。
5歳の時、父がふと持ち帰ってきたレコードがレッド・ツェッペリンやディープ・パープルがあって。
3歳からクラシック音楽に出会っていた私は、「なんだこの汚い音は!激しい言葉は!」と思ったけれど、預けられっ子でいつもひとりぼっちだった私のフラストレーションを代わりに叫んでくれていると思いました。それがロックとの出会い。その後学校で取り残されたりいじめられたりしたって、音楽がいつもそばにいてくれた。生きあぐねていれば、ブルース・スプリングスティーンが自分で道を拓けと言ってくれた。そしてボブ・ディランは本当はいろんなことを思っているのに言わないのはもったいないよと、ニール・ヤングは金のハートを探せとは歌ってくれた。学校で、愛という言葉と夢という言葉は教えてくれても教わらなかった愛し方と夢の叶え方を、たくさんのアーティストが教えてくれました。いつも道に迷っては何かにぶつかって生きてきました。だけどロックがあったから曲がらずまともに戦って来れました。
だから私も皆さんにとってそういう存在になりたい、と思い『55BLACK』を作りました。
幸せな歌は他の人を聴いて下さい。でも生きることに疲れたり迷ったり、叫びたいものかがたくさんある時は、私の歌を聴いてください。そこにはいつも大黒摩季がついてますから!」
最後の最後に放たれた大黒のストレートなメッセージに、客席は満面の笑顔と大歓声で応え、まるで誰もが少年少女のような瑞々しい輝きに溢れていた。この感動的な瞬間さえもきっとまた彼女の血肉となり、進化しながら原色の作品に生まれ変わるのだろう。彼女の生き様自体が音楽そのものなのだ。
「世の中の理不尽なものに、ダカラドシタ、ソレガドシタ、そして何か変わったか?生き地獄からイチヌケターーーっ!!て歌って発散して、みんなで沸騰して終わりましょう!!辛いことは逃げたっていいんです!一生懸命生きてる人は!そこに意志があれば必ずチャンスにも出会えます!なのでみんなで一抜けちゃいいましょう!」
という熱いメッセージとともに、今回の相棒でもあるギター、Gibsonのエクスプローラー(オープニングは赤、アンコールはゼブラ柄)をかき鳴らし、全身全霊で歌い抜いた。そして何とも大黒摩季らしい全スタッフを舞台上に呼び込み、大黒組総勢での一大ラインナップ。スタッフとバンドメンバーが去り、1人になった大黒摩季は、「最後に大黒からのお願いがあります!」と、2024年元日に起こった能登半島地震の被災地へ、途切れることなくチャリティ募金を続けていることを話し深く頭を下げると、かつて東日本大震災により甚大な被害を受け、復興してきた福島県なだけに心からの理解と共に温かく力強い拍手が湧き上がり、大黒が届け続けたLOVE&PEACEが会場に咲き誇り、美しく眩い千秋楽となった。
『MAKI OHGURO LIVE TOUR 2025 -55 BLACK-』(※提供画像) 画像 6/6
同日、大黒摩季としては2年ぶりとなるオリジナルアルバム『55 BLACK』も発売された。全10曲の新曲とボーナストラックを収録し、多彩なサウンドとメッセージ性あふれる楽曲群が並ぶ。「イチヌケタ」「タッチダウン」「イチャイチャしようよ」「通り雨のリグレット」「別れません私から消えませんあなたから」など5曲は、このツアーでもすでに披露されており、本公演でもその魅力が存分に発揮された。「イチヌケタ」「タッチダウン」以外はアルバム発売までライブに参加した人のみ聴くことが出来たということで、その瞬間を共有したファンだけの特権的な体験でもあったわけだが、ついにアルバムがリリースされ、その全容が明らかになった。
さらに今作では、PHOTO BOOKとして今や世界的写真家であり多岐に渡るアートワークを繰り広げるレスリー・キーによる、Beauty且つ大胆で刺激的なブックレットも注目だ。大黒のトレードマークとも言える長い髪を、バッサリ切ったシーンから始まり、いち早くアルバムを手にしたリスナーたちからブックレット冒頭に掲載されたアートなほぼヌードショットも大きな話題になっている。まさにありのままの「大黒摩季」を表現すべく撮影した大胆なショットは、このアルバムを手にした人だけが見ることのできるスペシャルサプライズだ。
また、往年のファンならとくに見逃せないポイントとして、本アルバム内には大ヒット曲「別れましょう私から消えましょうあなたから」の32年後を描いた「別れません私から消えませんあなたから」が収録されている。当時嬉しいでしょう 明日から自由になれる〜と歌っていた女性像は、嬉しいでしょう 最後には看取ってあげる〜と歌うまでに変化している。人生経験を重ねた今だからこそ表現できる、大黒摩季ならではのエッジの効いたラブソングは必聴だ。
なお、大黒摩季は8月28日より全国ツアー後半戦「MAKI OHGURO LIVE TOUR 2025 -55 RED-」をスタートさせる。ファイナル直後からすでにリハーサルも始まり、「55 RED」用ニューアルバム制作にも着手。今回はスペイン旅でインスパイアされたフラメンコや世界的トレンドとなっているチル・サウンド、更には昨年台風で中止となったラテン家の人々ライブへのリベンジとしてサルサやラテン要素も取り入れ、華やかなトライバル・ダンスミュージックに挑戦するという。
「55 BLACK」で追求した大黒摩季流ROCKとは異なる、新たな大黒摩季流エンターテインメントへと進化する舞台になる。新年早々に、「世間が求める大黒摩季という役割はおおよそ果たせたと思うので今年は、私が理想とする大黒摩季を極めたい」と宣言した通り、35周年へ向け無双の道を歩み続ける。刹那的にも見えたもし明日死んでも後悔しないように、今を全力で生きる、その燃えるような彼女のパフォーマンスと音楽の濃密さは、受け手の目を離すことはないだろう。予測不能な大黒摩季の衝動的な嬉しいサプライズが楽しみでならない。
