「世の中の理不尽なものに、ダカラドシタ、ソレガドシタ、そして何か変わったか?生き地獄からイチヌケターーーっ!!て歌って発散して、みんなで沸騰して終わりましょう!!辛いことは逃げたっていいんです!一生懸命生きてる人は!そこに意志があれば必ずチャンスにも出会えます!なのでみんなで一抜けちゃいいましょう!」
という熱いメッセージとともに、今回の相棒でもあるギター、Gibsonのエクスプローラー(オープニングは赤、アンコールはゼブラ柄)をかき鳴らし、全身全霊で歌い抜いた。そして何とも大黒摩季らしい全スタッフを舞台上に呼び込み、大黒組総勢での一大ラインナップ。スタッフとバンドメンバーが去り、1人になった大黒摩季は、「最後に大黒からのお願いがあります!」と、2024年元日に起こった能登半島地震の被災地へ、途切れることなくチャリティ募金を続けていることを話し深く頭を下げると、かつて東日本大震災により甚大な被害を受け、復興してきた福島県なだけに心からの理解と共に温かく力強い拍手が湧き上がり、大黒が届け続けたLOVE&PEACEが会場に咲き誇り、美しく眩い千秋楽となった。
『MAKI OHGURO LIVE TOUR 2025 -55 BLACK-』(※提供画像) 画像 6/6
同日、大黒摩季としては2年ぶりとなるオリジナルアルバム『55 BLACK』も発売された。全10曲の新曲とボーナストラックを収録し、多彩なサウンドとメッセージ性あふれる楽曲群が並ぶ。「イチヌケタ」「タッチダウン」「イチャイチャしようよ」「通り雨のリグレット」「別れません私から消えませんあなたから」など5曲は、このツアーでもすでに披露されており、本公演でもその魅力が存分に発揮された。「イチヌケタ」「タッチダウン」以外はアルバム発売までライブに参加した人のみ聴くことが出来たということで、その瞬間を共有したファンだけの特権的な体験でもあったわけだが、ついにアルバムがリリースされ、その全容が明らかになった。
さらに今作では、PHOTO BOOKとして今や世界的写真家であり多岐に渡るアートワークを繰り広げるレスリー・キーによる、Beauty且つ大胆で刺激的なブックレットも注目だ。大黒のトレードマークとも言える長い髪を、バッサリ切ったシーンから始まり、いち早くアルバムを手にしたリスナーたちからブックレット冒頭に掲載されたアートなほぼヌードショットも大きな話題になっている。まさにありのままの「大黒摩季」を表現すべく撮影した大胆なショットは、このアルバムを手にした人だけが見ることのできるスペシャルサプライズだ。
また、往年のファンならとくに見逃せないポイントとして、本アルバム内には大ヒット曲「別れましょう私から消えましょうあなたから」の32年後を描いた「別れません私から消えませんあなたから」が収録されている。当時嬉しいでしょう 明日から自由になれる〜と歌っていた女性像は、嬉しいでしょう 最後には看取ってあげる〜と歌うまでに変化している。人生経験を重ねた今だからこそ表現できる、大黒摩季ならではのエッジの効いたラブソングは必聴だ。
