20時近くなり、完全に陽が落ちた場内にアンコールが沸き起こると、大型ビジョンにはチビノフと呼ばれる子ども達の姿が次々と映し出されていく。会場中がほっこりとした空気に包まれるこの展開ももうおなじみの光景だ。そして、「ENCORE OVERTURE」が響き渡り、盛大なモノノフのコールで再び会場に一体感が生まれると、4人が今回のグッズのユニフォーム姿でステージに登場。アンコールの1曲目は「夏のライブで聴きたい!ももクロ定番夏ソング総選挙」で見事第1位に輝いた「天手力男」だ。2014年に同じく神奈川県の日産スタジアムで行われた『ももクロ夏のバカ騒ぎ2014 日産スタジアム大会〜桃神祭〜』での大雨が止んで虹がかかった時の記憶や思い出とリンクさせて、浸りながら聴いていたモノノフも多かったに違いない。その時の演出を彷彿させるダンサーによる和傘を持ったパフォーマンスもとても心に残った。さらに、篠笛を想起させるようなフルートの音色が響き渡り、定式幕の模様がビジョンに映し出されると、続いても和のテイストが詰まった「ニッポン笑顔百景」へ。まさに会場中に笑顔が溢れる中、間奏では「ワッショイ!ワッショイ!」のコール&レスポンスが生まれていく。そして、DMBメンバーやヒダノ修一&一彩、ダンサーの紹介を経て、2011年リリースの1stアルバム収録の「コノウタ」へ。ずっとライブでの人気が高かった1曲だが、デビュー当時のがむしゃら感が詰まった楽曲を大人になった今のももクロが歌うことで、昔からのファンにはより深く心に響いたことだろう。ラストには約500発の花火の演出も加わり、観る者の気持ちをさらに昂らせていく。そして、ラストの1曲は昨年リリースの「やわく恋して~ずっと僕らでいられますように~」。2025年の夏バカを締め括るに相応しい、今のももクロらしい選曲で温かく優しい空気に包まれた中、DAY1はフィナーレを迎えた。
ももいろクローバーZ『ハマの夜祭り番長襲名記念 ももクロ夏のバカ騒ぎ2025 in 横浜スタジアム』(C)さいちょー 画像 13/13
最後の挨拶。高城が「32年間、横浜で様々なお祭りに参加してきたけれど、最高で最強のお祭りでした。この景色を当たり前だと思わず、これからもバカになっていきたい」と語り、佐々木が「これまで横浜スタジアムでライブをやりたいと明言してきたことはなかったけれど、神奈川県民として一度は立ちたいと思っていた。夢が叶って本当に良かった」と地元への思い、横浜スタジアムへの思いを語ると、玉井は「ここ数年、夏に何か物足りなさを感じていた。やっぱり4人で見るこの景色が一番好きだなと思った」と語り、最後に百田が「(ライブの後半のメンバー紹介の際に)最愛のパートナーであるモノノフさんを紹介する瞬間が大好き。今日も一緒にバカ騒ぎしてくれてありがとう。みんなのおかげで天候にも恵まれて素敵な夏の思い出になりました」と夏バカへの思い、モノノフへの思いを語って締め括ったのがとても印象的だった。
夏の野外ライブは時に天候の影響を受けることも多いが、それゆえに、その場に集まった者だけしか味わえない奇跡的な瞬間や光景も共有することができる。今回改めて季節毎に集まれる場所があることが当たり前ではなく、尊いことであることを誰もが再認識したライブになったのではないだろうか。だからこそ、集まった全員が頭のネジを外してバカ騒ぎすることを心からとことん楽しみ、その喜びを共有できたのだろう。まさに、ももクロらしい、ももクロにしか出せない一体感と空気感がそこには広がっていた。
そして、DAY2の最後の最後には、もうひとつの発表が。今回の『ハマの夜祭り番長襲名記念 ももクロ夏のバカ騒ぎ2025 in 横浜スタジアム』の映像化が決定し、来年3月4日にリリースされることがサプライズで発表された。この夏の最高の思い出として胸に刻まれた夏バカを何度も何度でも見返してほしい。そして、来年の夏もまた会えることを願って。