リアルとアンリアル、2次元と3次元を橋渡しする彼らが魅せるのは、いわば夢のような現実。そこに夢を現実にしていくという願いを重ね、2019年7月の始動から5周年となる今年は『夢現の続き』というテーマタイトルのもと、精力的にリリース&ライブを行ってきた。その集大成となる本公演に冠されている『白昼夢』とは、起きたまま見る夢のことであり、夢と現の狭間に在る不可思議な世界観でファンを翻弄してきたげんじぶにはピッタリのキーワード。公演のキービジュアルも日本城にグリッチノイズを施した、和洋折衷かつ古風と現代を併せ持つものとなっており、そのイメージ通りのナンバーで、アリーナから3層のスタンドまでを埋めつくした観測者の期待に7人は冒頭から応えていく。
提灯の下がった和風の門構えが現れ、そこにキービジュアルと羽ばたく鳥をあしらったオープニング映像が荘厳に流れると、イントロの琴の音に乗ってステージ上に7人がスライドアップ。特効で鳴る音玉の火花を合図に、本公演のテーマソングとしてkemuPこと堀江晶太が提供した「夢之相 - イメノアイ」でライブは幕開ける。和楽器音にボカロ文脈の音色を取り入れ、優美な古風と疾走感ある現代を融合させた本作は、白と金をベースにした和洋ミックスの衣装とも相性抜群。日本的情緒にあふれるメロディに寄り添って長い袖を雅に揺らめかせ、一転、デジタリックなダンスパートではマッシブに展開し、客席は7色のペンライトでカラフルな光の海となる。サビでは長野凌大、小泉光咲、武藤潤、大倉空人が突き抜けるようなハイトーンボーカルを聞かせ、たとえ、この手に触れたものが泡沫でも、今、感じる想いや胸に灯る炎は偽りではないというメッセージを提示。それは彼ら自身の存在とも重なり夢の中で会うことを意味する「夢之相」というタイトルにふさわしい鮮やかな幻想を描き出す。続いて、古文も用いた和風な世界観に転がるようなピアノフレーズが合わさり、杢代和人と桜木雅哉の年少組が荒々しくラップを放つ「以呂波 feat. fox capture plan」も、相反する二者の掛け合わせを得意とする彼ららしいナンバー。冒頭から和と洋、古風と現代を兼ね備えた2曲で、本公演のテーマを明らかにする。
さらに、勢いよくあがるファイヤーボールをバックに、げんじぶ史上最大級に歌詞が詰め込まれた「余白のための瘡蓋狂想曲」のリズミカルで跳ねるような高速ラップ&ボーカルが耳を惹いてから、桜木の「行こうぜ!」という号令でアリーナ中央に伸びる花道へ。ギターロック曲「黄昏よりも早く疾走れ」でパッションをぶつけ、センターステージにたどり着くと7人で円になり、全方位の観測者に向けてスモークの中から青春の焦燥とエモーションを放っていく。そのまま「観測者のみんな、今日は楽しむ準備できてるか!? 声出す準備はできてますか! 最高の1日を過ごしましょう」とリーダーの吉澤要人が呼びかけて、2ndシングル「嗜好に関する世論調査」では、彼らの十八番であるピアノロックでおなじみの2択コールも。客席のド真ん中からアリーナ、スタンドと順に2択! 2択!と観測者と一緒に大合唱を繰り出し、キュートな仕草も加えて場内を沸騰させる。
原因は自分にある。<ARENA LIVE 2024 白昼夢への招待>(C)米山三郎・笹森健一 画像 7/17








