2024.05.31 公開
L’Arc~en~Ciel、声出し解禁、約2年振りとなる全国ツアーARENA TOUR 2024 UNDERGROUND 完走。「ラルクの音楽は皆の血の中に入っている」<オフィシャルレポート>

L’Arc~en~Ciel(C)Hideaki Imamoto  画像 1/19

 


LEDスクリーンに投影される映像によって、まさにメリーゴーラウンドと化したステージで「Bye Bye」を披露。「ミライ」では、メンバーはイヤモニを外したり手を耳に当てたりしてファンの合唱を聴き、「Link」へ。最後のMCでは、「久しぶりの曲たくさんやったと思うんですけど、どうだったでしょうか?」というhydeの問い掛けに、「最高!」などの掛け声や拍手が響き、kenもステージでそっと拍手を送っていた。hydeは、20歳や21歳でつくった曲を「今再現するのは、最初は照れ臭さもあったんですけど、面白いね。当時考えていた気持ちを再認識する、というか」と感慨深そうに語り、「こんなこと思ってたんだなとか思いながら、実は歌ってます」と心の内を明かした。「当時の景色とか、思い浮かべながら歌ったりしていました。皆もきっと……いろんなお客さんがいらっしゃる。記憶の中にはL’Arc~en~Cielの音楽があって、あの曲を聴いたらあの頃を思い出すんだよなとかあると思います」とコメント、ファンの人生に想いを馳せた。「きっとそうやって皆の血の中に入っているんだろうなと思いながら今日は歌いました」と語ると大きな拍手が起きた。


「声を出せない時期もありましたけど、お互いの逢いたいという気持ちが叶って、良かったなと思います。今日はありがとうございました」と真っ直ぐに感謝を述べると、混じり気のない澄み渡ったkenのギターの音色を皮切りに、「MY HEART DRAWS A DREAM」が始まっていく。慈愛を湛えた温かな表情で歌うhyde。合唱でファンと想いを通い合わせ、最後の力を出し切るようにエモーショナルにプレイし、アイコンタクトを交わして音を止めるメンバーたち。モニターが映し出したその表情は、柔らかで穏やかなものだった。ステージを降りる際、kenもyukihiroもファンに向かって手を振って挨拶。hydeは投げキッスを放ち、バレエダンサーのように優雅なお辞儀をして去っていった。tetsuyaは「ありがとう! 楽しかった?」とファンに問い掛けながら全花道を巡り、「ありがとう! 声出せるっていいね」とコメント。BGMが一瞬止まり、ピンスポットを全身に浴びると「まったね~!」と挨拶してステージを後にした。

L’Arc~en~Ciel、声出し解禁、約2年振りとなる全国ツアーARENA TOUR 2024 UNDERGROUND 完走。「ラルクの音楽は皆の血の中に入っている」<オフィシャルレポート>L’Arc~en~Ciel(C)Takayuki Okada  画像 19/19


長年にわたり眠っていた初期曲や、近年の作品でもライヴで披露する機会が少なかった曲たちにスポットを当てた、前例のないコア曲揃いのセットリスト。全てが名曲であり、2024年の今を生きるメンバーの身体を通して歌い奏でられることで、イメージは瑞々しく刷新されたが、もちろん元来の魅力を損なうこともなかった。hyde、ken、tetsuya、yukihiroが持つ固有の魅力を4つのエレメントで表し、それらが合わさって生まれるL’Arc~en~Cielの音楽が希望の光となり、傷付いてひび割れた人々の心を癒していく、というイメージを一連の映像は象徴していた。素晴らしいのは、難解な説明もなく、芸術性とエンターテインメント性を兼備した構成と演出によって、それをすんなりと体感できるライヴとなっていたことである。開幕からファイナルまで、公演ごとに絶え間ないヴァージョンアップが重ねられていたのはプロフェッショナル集団だからこそ。シンプルに、メンバーがL’Arc~en~Cielの音楽を、ライヴで歌い奏でることを楽しんでいるように見えたのもうれしく思われた。気付けば結成35周年もすぐそこに迫っている。L’Arc~en~Cielの未来のために、意義深い挑戦と実験を成功させたツアーだった。


Text:大前多恵

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