L’Arc~en~Ciel(C)Takayuki Okada 画像 15/19
Day1より1時間早い16時開演のDay2。ピアノの一音目と赤く染められた紗幕の演出はDay1同様だが、始まったのは「All Dead」ではなく「THE BLACK ROSE」という、うれしい裏切り。牙を剥くようなアグレッシヴな幕開け方は、両日共通している。「EXISTENCE」の<掴み取れ自由を!>で跪くhyde。kenが繰り返すアウトロのアルペジオの不穏さな響きにゾクゾクとし、鳥肌が立った。この日の「THE NEPENTHES」の歌唱は破裂音を荒っぽく吐き捨てるようなワイルドさがあり、yukihiroのドラミングもよりグルーヴィーでドラマティックに感じられた。「砂時計」は深く艶のある歌声に、tetsuyaのベースラインがそっと寄り添うように絡んでいく。同じ曲でも日によって印象が異なり、特に「a silent letter」は解釈が丸ごと変わってしまう不思議な曲だった。この日は子守歌のような包容力と穏やかさを序盤に感じ、終盤に向かうにつれ、濃密な死の気配に包まれていった。もちろん受け手の数だけ感じ方が存在するのだが、それもL’Arc~en~Cielの楽曲には様々な解釈を可能とする多面性があるから。加えて、メンバーの表現力の深化が奥行きを与え、解釈の幅を一層押し広げているのだろう。「Ophelia」は円熟した色気が匂い立ち、hydeのロングトーンは声を張り上げることが一切なく、それがむしろ抑えた激情を浮き彫りにしていた。遠くから聴こえてくる地響きのようなSEに続き、tetsuyaがベースのリフを弾く手元から煽る大胆なカメラアングルで始まる「Taste of love」。ギターソロを掻き鳴らすkenは、音に深く没入しているように見える。レア曲尽くしの第一部は興奮のうちに終わり、強烈な残像を刻んだ。
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第二部の「Voice」のメロディーと展開の美しさに陶酔していると、kenとアイコンタクトして顔をほころばせるyukihiroがLEDスクリーンに写し出され、観客は大歓声。こうした小さな出来事からも、メンバーが楽しみながらプレイしていることを窺い知ることができた。「Vivid Colors」では<目を閉じて>と歌いながら両目を手で覆って跪いたhyde。tetsuyaは最後、プレイを終えると高くベースを掲げた。「flower」はhydeとtetsuyaが身を寄せ合うような距離感で始まり、やがて二人はそれぞれに花道やステージ外周に歩み出て、ファンとコミュニケーションした。MCでは「会いたかった? かわいい声聴かせてくれよ!」とhydeが叫ぶと、「会いたかった!」と大きな声で答えが返ってきた。久しぶりの披露となる曲たちを「次いつやるか分かんないからね、しっかり目に焼き付けて帰ってください」と語り掛けたhyde。「It’s the end」の後は、Day1の「shade of season」に代わり、このツアーで28年振りに披露しているレア曲中のレア曲「Cureless」を放ち、シャウト混じりのヴォーカリゼイションと激情迸るプレイでファンを熱狂させた。「Blame」の歌唱も演奏も、隅々まで意識が張り巡らされていると同時に、伸びやかでヴィヴィッド。いつまでもこのバンドアンサンブルを聴き続けていたい、と思わず願った。歌い始める前に大きく息を吸う音すらドラマティックだった「叙情詩」。kenの刻むギターリフはグルーヴを生み出し、対比的にtetsuyaのベースはヴェールのようにサウンド全体を柔らかく覆っていた。オレンジ系のライトが衣装を照らすことで深い陰影を生み、ステージ上のメンバーを絵画のように美しく描き出しているのだった。
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THE L’ArQuizコーナー、VTRを経て、第三部が「GOOD LUCK MY WAY」で幕開けると、「Killing Me」では花道の先で演奏していたkenをhydeが羽交い絞め。そこへ別の花道から急いで走って来たtetsuyaが合流、貴重な3ショットに大歓声が起こった。kenはメインステージへと駆け戻り、ギターソロを完遂。その間hydeとtetsuyaは花道で向き合ってパフォーマンスし続けていた。「自由への招待」に代わりDay2は「NEXUS 4」を披露。突き抜けた明るい曲調が清々しい空気感を広げ、hydeはドローンカメラに向かってダッシュ。臨場感のある映像がモニターに映し出されていく。この曲でもhydeはギターソロでkenに接近。ファンにとって掛けがえのない尊い場面がステージのあちこちで生まれていた。
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「ライヴハウスより近いね」とセンターステージのファンとの距離感を語ったhydeは、花道を歩きながら「うれしい? 良かったねえ」「(『Taste of love』で)<愛してる>って言ったの? かわいいね。おじさんも言ってくれた? よしよし」などと、幼い子どもをあやすような口調で、幅広い年齢層のファンに愛情たっぷりに語り掛けた。「今日、いい感じですよ。グーッと集中してね」とライヴの手応えを語り、浴びせられる歓声を聴き「そんなにラルク好きですか?」と質問。「好き!」という無数の声が響き渡った。
