2024.05.31 公開
L’Arc~en~Ciel、声出し解禁、約2年振りとなる全国ツアーARENA TOUR 2024 UNDERGROUND 完走。「ラルクの音楽は皆の血の中に入っている」<オフィシャルレポート>

L’Arc~en~Ciel(C)Hideaki Imamoto  画像 1/19

L’Arc~en~Ciel、声出し解禁、約2年振りとなる全国ツアーARENA TOUR 2024 UNDERGROUND 完走。「ラルクの音楽は皆の血の中に入っている」<オフィシャルレポート>L’Arc~en~Ciel(C)Hideaki Imamoto  画像 4/19


濃密なグルーヴ感で圧倒した序盤を経て、「砂時計」からはムードが変わった。天使の梯子を思わせる無数の白い光がステージを照らし、kenの繊細なギターカッティングがそこに漂う空気に色を付けていく。tetsuyaのベースが寄り添うように重なり、yukihiroの鳴らしたシンバルは光の粒を撒き散らすかのように煌めいていた。hydeは胸に手を当て一語一語を噛み締めるように歌唱。例えば<幸せを望む事がその悲劇を呼んでいる>など、歌詞には現代の時世を投影して聴くこともでき、その普遍性に唸らされた。深遠な世界観に既に惹き込まれていたが、次曲「a silent letter」が始まると、更に一段深い奈落が存在していることに気付かされた。青から白へのグラデーションで制御されたL'ライトは客席を星空のように色どり、更に俯瞰で見れば、すり鉢状の底で回転し始めた円形ステージは、あてどなく銀河系を浮遊する大きな宇宙船のようだった。ツアー初日には虚ろなメランコリックさに魅入られたこの曲は、公演ごとに印象が変化。この日の表現からは、静かな祈りのような純粋無垢さを感じた。終盤、歌と演奏の昂りとシンクロして赤い光が加わっていく照明演出が鮮烈で、最後に静寂が訪れるその時まで、すべてが完璧に美しかった。

L’Arc~en~Ciel、声出し解禁、約2年振りとなる全国ツアーARENA TOUR 2024 UNDERGROUND 完走。「ラルクの音楽は皆の血の中に入っている」<オフィシャルレポート>L’Arc~en~Ciel(C)Hiroaki Ishikawa  画像 5/19


煽情的なピアノが響き、真っ赤に染められたステージで「Ophelia」を披露。hydeはサックスを演奏、kenは腰掛けて煙草をくゆらせながらクラシックギターを情熱的に弾いた。滑らかにベースを奏でながら、コーラスも担うtetsuya。yukihiroは変化していくリズムをコントロールし、正確に繰り出していく。「Taste of love」は選曲そのものの驚きに加え、柵状の床下からステージを這うhydeを追うアングル、yukihiroのキックする足元を捉えるアングルなどを導入した画期的なカメラワークでも沸かせた。狂おしいギターソロを掻き鳴らすken。ピンスポットを集中的に浴びてtetsuyaがベースソロを奏でた瞬間、会場がどよめいた。<愛している>の歌唱をファンに委ね、歌い終えたhydeの目元は、涙か汗なのか、潤んでいるように見えた。

L’Arc~en~Ciel、声出し解禁、約2年振りとなる全国ツアーARENA TOUR 2024 UNDERGROUND 完走。「ラルクの音楽は皆の血の中に入っている」<オフィシャルレポート>L’Arc~en~Ciel(C)Hiroaki Ishikawa  画像 6/19


第一部が終わり、ブラウン管のテレビがLEDスクリーンに出現。1980年代のテクノポップ調BGMに乗せ、オープニング映像の古城を3Dスキャンしたような線画と、その廊下を羽ばたく鳥が投影され、幾多のキューブが組み合わさってメンバーのフィギュアを形作っていく。第二部の1曲目は「Voice」。アルバム『DUNE 10th Anniversary Edition』のジャケットアートワークが三次元化したような空と海の映像が映し出されるスクリーンをバックに、開放的で瑞々しいサウンドを鳴り響かせる。以降、ステージから四方へ伸びた花道へ、メンバーは随時歩み出てファンの近くでパフォーマンスしていく。髪を振り乱し身体を揺らしながら、kenは心地良さそうにギターを奏でていた。呼吸のピッタリと合ったキメを鳴らし、「Vivid Colors」へ突入。L'ライトと照明はひときわカラフルで、LEDスクリーンも大きな刷毛で絵の具をペイントするように色で埋め尽くされていく。「叫べ、さいたま!」とファンに呼び掛け、シンガロングを求めるhyde。tetsuyaは花道の突端でジャンプしながらターンを繰り返した。一音一音が光に満ち、メンバーもファンも笑顔。会場は多幸感に満ちていく。そこへ「flower」を放つと明るさは更に増していき、hydeとtetsuyaが向かい合ってパフォーマンスする場面に沸き立つ観客。続けて披露することで輝きが増幅していく、マジカルな3曲の連なりだった。 

L’Arc~en~Ciel、声出し解禁、約2年振りとなる全国ツアーARENA TOUR 2024 UNDERGROUND 完走。「ラルクの音楽は皆の血の中に入っている」<オフィシャルレポート>L’Arc~en~Ciel(C)Hiroaki Ishikawa  画像 7/19


ここで初めて「さいたま! L’Arc~en~Cielです」とhydeは挨拶、yukihiroが合の手を入れるようにキックを踏み鳴らした。「どうですか? センターステージ。皆近いね。全部見えるからね」とファンに語り掛けると、AIによる英語の同時通訳が字幕化。これはツアー初日にはなかった演出である。「今日も久しぶりの曲をたくさんやっております。マニアックな人たちが多いと思うので、ほぼ知ってる? 全部歌える? いい声してたね」などと話し掛け、その間ステージはゆっくりと回転していた。「いちばん声援が大きいところで止まるようになってます」というジョークで笑わせ、停止すると「まだまだ続きますが、『It’s the end』」とタイトルコールに繋げた。夕焼けを思わせる濃いオレンジ色の光の中、異国の大地を南へと向かう車だろうか、車窓からの風景を思わせる黄昏の映像と共に、小気味よく乾いたサウンドを鳴らしていく。

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