2024.05.19 公開

COMPLEX 「日本一心」(撮影:外山繁)  画像 1/6

今回のセットリストに新たに加わったインスト
曲「HALF MOON」では、布袋が叙情あふれる
ギターを披露した。続いて、バンドによる
「ROMANTICA」のインスト演奏が入る構成。
後半は「PROPAGANDA」「IMAGINE HEROES」
など、たたみかける展開となった。「GOOD SAVAGE」
でも吉川と布袋の白熱のギターバトルが実現。
「恋をとめないで」の印象的なギターリフが
鳴り響いた瞬間に、会場内の温度が上がった
かのようだった。5万人によるシンガロングは
壮観だ。吉川が歌詞の一部を変えて、
「東京ドームの夜だぜ」と歌うと、待っていま
したといわんばかりの大歓声と拍手。本編の
最後は「MAJESTIC BABY」だ。<お前と一緒なら>
というフレーズでは、コール&レスポンスが起こり、
「お前と一緒にエールを!」と吉川がシャウトすると、
賛同の意を表明する雄叫びが起こった。
エンディングでは、吉川がシンバルキックを披露。
何度か失敗した後に、鮮やかに決めると、
布袋が両手を挙げてガッツポーズ。


アンコール1曲目には「1990」が演奏された。
LEDモニターに「1990」の数字が映し出されて
の始まり。COMPLEXが活動していた1989年から
1990年にかけてはベルリンの壁崩壊、天安門事件、
東西ドイツ統一など、世界的に激動の時代だった。
彼らは当時の世界情勢を踏まえて楽曲を制作していた。
平和への祈りは2024年の今も有効だろう。
2024年の「1990」は愛と勇気と希望の歌と
形容したくなった。ヒューマンな歌声とギターが
真っ直ぐ届いてきたからだ。観客も「ラララ」で
参加して、温かな空間が出現し、曲の終わりには
「2024」の数字が映し出された。「RAMBLING MAN」
でのファイティングスピリッツあふれる演奏からは、
彼らが今も挑み続けていることが伝わってきた。
アンコール時のMCでは、布袋のこんな発言も
あった。「あの頃20代だった吉川は58歳、オレは
62歳だぜ。でも年を重ねても、心はどこまでも
走れるんだぜってことをみんなに伝えられたん
じゃないかと思います」

吉川晃司と布袋寅泰による伝説のユニット COMPLEX 「日本一心」チャリティーライブ【オフィシャルLIVEレポート】 COMPLEX 「日本一心」(撮影: 太田好治)  画像 6/6


Wアンコールではセットリストに新たに加わった
「CLOCKWORK RUNNERS」が演奏された。時計の
刻むリズムに導かれて、ダイナミックなバンド
サウンドが展開されていく。タイトなカッティングから
ストレンジなテイストのリフまで、布袋のギタープレイ
は変幻自在だ。吉川の歌声は困難な時代を生きる
すべての人へのエールのようにも響いてきた。
最後の曲は「AFTER THE RAIN 」。ここで歌われて
いる<雨上がりの街>とは希望の象徴でもあるだろう。
観客がスマホのライトを灯して揺らす光景は、
まるで夜空にまたたく星の輝きのようだった。

 

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