2024.04.04 公開
【ライブレポート】Saucy Dog アリーナツアー ファイナル Kアリーナ横浜

写真:山川哲矢  画像 1/11

そんなセクションの後は恒例のアコースティックコーナー。せとがキーボードを弾きつつ歌う「へっぽこまん」、そしてせとが「今いちばん大事にしている曲」だという最新作『バットリアリー』のボーナストラック「星になっても」。すっかり定番となったこのコーナーだが、アリーナでもその「近さ」はまったく変わらない。3人の関係性、ファンとの向き合い方、いろいろな意味でとてもサウシーらしい空気が生まれる瞬間だ。そのアコースティックコーナーを石原が歌う「届かない」で終えると、ライブはクライマックスへと突き進んでいった。

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ステージをスモークが覆う幻想的なムードの中披露された「リスポーン」をエモーショナルに届けると、石原が「横浜!」と叫んで「現在を生きるのだ。」で一気に風景を押し広げる。そしてここでもシンガロングを巻き起こすと、立て続けに「夢みるスーパーマン」を投下する。「現在を生きるのだ。」もそうだが、この「夢みるスーパーマン」も聴く人に直接的にメッセージを届け鼓舞する楽曲。ライブの空気を作っていった序盤、楽曲の世界観を丁寧に表現した中盤を経て、この終盤ではよりダイレクトでタフなオーディエンスとのコミュニケーションが生み出されていった。秋澤のベースソロから突入した「雷に打たれて」を経て、「ゴーストバスター」と「バンドワゴンに乗って」を畳み掛けると、早くも本編最後の曲。会場のオーディエンスと会話をしつつ、スタッフも含めここにいる全員に感謝を伝えると、石原はこう言葉を継いだ。「あなたと直接手をつなぐことはできないけど、あなたの心の中にちょっとでも長く、Saucy Dogという存在がい続けられれば、一緒に生きられるんじゃないかなって思います」。そうして石原自身の、そしてその歌を受け取るすべての人の心を深く抉るような楽曲「怪物たちよ」が熱く、強く届けられた。

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その後のアンコールでは2月28日に映画『52ヘルツのクジラたち』の主題歌としてリリースされた新曲「この長い旅の中で」を披露すると、ファイナルということで秋澤からも「15本、長いようで短かった気がします」と一言。さらにそこでは、今回サポートギターを務めた作田がじつは彼と石原の専門学校時代からの友人で、秋澤は彼と一緒にバンドを組んでいたこともあるというバックグラウンドも明かされた。そしてせとが「また一緒に遊びましょう、そんだけ」と告げて「そんだけ」を届けると、最後は1stミニアルバム『カントリーロード』からの「グッバイ」。初期曲ということで「知ってる人はあまりおらんかもしれんけど」と石原は言っていたが、もちろんそんなことはなく、突き抜けるようなバンドサウンドに会場中から手が上がり、歌声が生まれる。最高の一体感とともに、記念すべき初の全国アリーナツアーは幕を下ろしたのだった。

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