続いた「Good-by morning」。
ソロデビュー直前に近藤房之助とのコラボレーションで形にし、
2023 年 11 月には中西圭三と歌ったバージョンをデジタル配信したこの楽曲を
今夜はソロで、今のフィーリングで表現される。
例えば、中西圭三とのこの曲は、心通わせた者と共に新しい 1 歩を踏み出す
エネルギーを感じたが、ステージから届く歌は、ひとり自分自身と静かに対峙し、
ネガティブな想いや思い出を振り切って新しい朝へと向かう意志に溢れていた。
続いた本編ラストの「One More Chance」は演奏と歌が開けていて、
『ムダなモノは 何ひとつない』。飛び込んでくる言葉が先へ進む力と自信を注いでくれる。
『Lalala......』と オーディエンスが想いを重ねながら歌い、高く上げた右手を左右に振る。
オープニングから温めてきた気持ちがしっかりと合わさったその光景は
とてもピースフルで未来を照らす希望の光に満ちていた。
アンコール。奏でられた「幸せの予感」は、キーボードと観客のハンドクラップが
作り出すアンサンブルを伴奏に宇徳が歌い、幸福感が神田明神ホールに広がる。
そしてこの日のラストを飾ったのはアニメ『名探偵コナン』のエンディングテーマとして
流れた「光と影のロマン」だった。
宇徳のパッション剥き出しの歌がエネルギーを燃焼して生きる姿を想わせる。
日々の中で押し寄せる光と影、幸福な時間と苦しみの波を越えていくパワーを注いでくれた。
2024 年をこの日のコンサートで踏み出した宇徳敬子は、
30 周年の最終日となる 8 月 3 日にソロコンサートを行なうことを発表した。
また、30 周年セルフカヴァーアルバムリリースも予定しているという。
彼女らしく歩む 30 周年とその先、音楽表現は続いていく。
文・大西智之
カメラマン・木村直軌
