〈Velvet Theater 2023〉(撮影:上飯坂一) 画像 6/9
そこに、60年代のリキッドライトを踏襲しつつ独自の技法でアナログの可能性を突き詰める大場と、デジタルからレトロもモダンも捉えた石榴のアシッドな映像が映し出され、バンドのサウンドに輪をかけて没入感とトリップ感を煽っていた。
メンバーが静かに登場し、1曲目は「Velvet Theater」。アーシーなサイケデリックロックからブリッジでテンポアップして超自然的なサウンドスケープへ。
そこからテンポを戻して亀本の泣きのギターソロに繋がる流れがたまらない。続いては最新アルバム『Into The Time Home』から「レイトショーへと」。R&Bやジャズとサイケデリックロックの融合によって生み出されるグルーヴに体が揺れる。
松尾は肝の据わったハスキーボイスに注目が集まりがちだが、高音域の地声からファルセットへと移るグラデーションの繊細な美しさにもうっとりする。そして『アーヤと魔女 SONGBOOK ライムアベニュー13番地』収録の「A Black Cat」と、続けて横ノリを演出しフロアを温めた。
「今日は最高のパーティーにして、最高な夜の世界にみんなで迷い込もうと思います」と松尾が話し、「NIGHT LAN DOT」へ。そしていよいよGLIM SPANKYのディープな世界観が炸裂する。
大陸が音を上げているような大井のドラムと東洋的な亀本のギターフレーズ、松尾の砂漠に対する想像力が溢れる言葉とメロディのシナジーが凄まじい「MIDNIGHT CIRCUS」は、シルクロードの過酷な旅の途中に見る夢のようだ。
〈Velvet Theater 2023〉(撮影:上飯坂一) 画像 7/9
続いて松尾がアカペラで〈夜景画の山肌に月が顔出して〉と風景を歌う始まりからサイケデリックな世界の深みへと誘う「闇に目を凝らせば」。