ふたたび、深い深いチルな音が、場内中へ優しく染み渡りだす。雨のパレードは『morning』を歌い奏で、この場にいる人たちの心を優しく抱きしめだした。とても気持ちを癒す歌声と旋律だ。まるで産毛の多い毛布でくるまれているような気分。だから、その歌声と音色を子守歌に、まどろみの中へ落ちていきたかった。ほんと、そんな気分だったよ。

　最後に雨のパレードは、少しだけ季節を巻き戻すように『Summer Time Magic』を演奏。この曲では、福永浩平と観客たちが歌声を交わしあう景色も誕生。淡々とした、でも確かな熱を抱いた演奏の上で、誰もが心を解き放ち、声を張り上げながら、その場で高く高く飛び跳ねていた。激しいだけが躍動する音楽ではない。胸を優しく揺らすトリップしたチルでスタイリッシュな音楽も、身体を心地よく跳ねさせる。ほんと、静かなる躍動という言葉が似合うバンドだ。場内中を揺らした大きな合唱が、それを示していた。

【SAMURAI SONIC vol.5】
「SAMURAI SONIC」は『打ち鳴らせ、魂動（こどう）』をコンセプトに、2021年11月に東京・立川ステージガーデンにて初めて開催され、今回で5度目の開催となる。
出演アーティストはTHE BAWDIES、miwa、Q.I.S.、Wienners、雨のパレード、瑛人、感覚ピエロ、-真天地開闢集団-ジグザグ、鈴木鈴木、DJダイノジ（公認アンバサダー）。