曲が進むごとに、舞台の上は次第に光を帯びだす。『Shoes』がゆっくりと、でも軽やかにステップを踏むように、歌や演奏へ華やいだ色を与えだす。いや、蒼々とした世界へ少しずつ輝きを射してゆくような感覚だ。福永浩平の淡く、でも甘い歌声が、壮麗な音の風に乗せて胸に優しくそよいできた。どんどん心地よく酩酊してゆく、この感覚がとても美しく気持ちいい。
雨のパレード<SAMURAI SONIC vol.5>(※提供写真) 画像 4/5
披露したのが、この日初披露となる新曲の『Praying Hands』。これまでの穏やかな空気を切り裂くように、福永浩平の荒々しい歌声と、アタックの強いビートが鳴り響く。楽曲自体に彩りを与える音の洋服は、相変わらずドープでチルな様相を見せているが、リズムと歌声が力強く躍動するからこそ、楽曲自体も、どんどんメロウながらもソウルフルな音の衣をまとって華やぎだす。途中から福永浩平が花道へ繰り出して歌唱。彼に向かってたくさんの手が伸びる景色も、この場を華やがせていた。
けっして派手な装いを持っているわけではない。でも、ふつふつとした熱を抱いた演奏だからこそ、『paradigm』の中からも、躍動する息吹を感じずにいれなかった。ドラマー大澤実音穂の叩き出す跳ねたビートの上で、ファルセットも生かした福永浩平の歌声が軽やかにステップを踏むように五線譜の上を躍っていた。だから、一緒に身体を揺らしていたかった。
この空間を壮大な世界へ染め上げるように、雨のパレードは『Hallelujah!!』を奏でだす。重厚なリズムの上で、歌声がエモーショナルに響き渡る。壮麗なハーモニーも加えながら、楽曲は大きな音のうねりを作り、観客たちをゆっくりと音の波で飲み込んでゆく。とても美しくも優しさを覚える。今はただ、壮大で麗美な演奏の中へ浸りながら夢を見ていたい。
雨のパレード<SAMURAI SONIC vol.5>(※提供写真) 画像 5/5
