また、後半の始まり2曲に横山のギターがハマるのは、彼の中にパンクなスピリットが存在するからだろう。横山もまた、デビュー後にパーカッションを担当することになった。そこから、もっとグループの音楽の力になりたいと30歳を超えてトランペットを手にし、現体制になったのを機に「パワーダウンしたと言わせたくない」と初めてのギターに挑戦した。「人のために弾きたい」「ギターが弾けたらカッコいい」という精神性は、楽器を持つ人の根源的なもの、ギターで魅了する人の根底にあるものを思い起こさせる。関ジャニ∞の音楽を近くで見守るスタッフの「生まれたての赤ちゃんのように、音楽を楽しんでいる。20周年を前にして、初期衝動を感じられるのが、今の横山のギターの魅力だ」との言葉がしっくりくる。
初期衝動は、バンド・関ジャニ∞が多くの人を魅了する理由とも言える。たしかに場数を踏み、多くの経験を積んできたが、約20年経った今も「まだまだ」「ここからだ」というスピリット、泥臭さを持ち続けているのだ。そこに漂うなんとも言えない青春感こそ、関ジャニ∞らしい音楽を作り出している。
ライブはクライマックスへと突入すると、打首獄門同好会の大澤敦史が初めて楽曲提供を行った『ハライッパイ』を初披露。コロコロと曲調が展開する中に、コミカルな歌詞がのっかり、ときにクールなロックサウンドを奏でるこの曲は、関ジャニ∞の振り幅を存分に生かした1曲。大いに沸くオーディエンスの中には、同日、ロッキンに出演していた打首獄門同好会のメンバーの姿もあった。
会場のボルテージが最高潮に達する中、次はOKAMOTO’Sが手掛けた『勝手に仕上がれ』でさらに盛り上げる。関ジャニ∞のアジテーターとして、観客を煽る村上に誘われ、会場中が「K!A!N!J!A!N!I!E!I!G!H!T!」、「ニーニニニーニニニニニニニー」と大合唱。会場はすさまじい一体感を見せた。
畳みかけるように、関ジャニ∞にとって初のバンド曲シングルである、『LIFE~目の前の向こうへ~』が始まる。キャッチーなメロディと疾走感が相まって、ど真ん中に入ってくるストレートなロックナンバーだ。5人が5人楽器を弾きながら、ボーカルがクルクルと変わっていくのも関ジャニ∞らしいスタイルと言えるだろう。原点にして彼らの究極といってもいい。
5人がラストソングに選んだのは、ゆずからの提供曲『T.W.L』。再び楽器を手放し、ステージのいっぱいに広がって、観客との距離をグッと縮める。楽曲タイトルでもあるタオルを、会場中がクルクルと回す景色は圧巻だった。関ジャニ∞らしく底抜けに明るく、パワフルに締めくくったステージを終えたとき、音楽ファンたちはすっかり彼らの味方になっていた。そして、最後は関ジャニ∞のライブでもおなじみの光景で締める。あらゆる人、場所に感謝の拍手を送り、「最高で最強の」という横山の声に続いて会場全員で「関ジャニ∞!」と叫ぶ。こうしてすべてを出し尽くした5人は、最高の笑顔でステージを後にした。
振り返ると、彼らがこの日のために準備したセットリスト中、約半数以上がミュージシャンから提供を受けた楽曲だった。それは関ジャニ∞がリスペクトを持ってバンドマンたちと接し、相手からも愛されている証と言えるのではないだろうか。現に『KANJANI∞ FESTIVAL SESSIONS 2023』の第2弾は、WANIMAからの誘いで彼らが主催する『1CHANCE FESTIVAL 2023』に出演する予定だ。5人はこのロッキンでの勢いを抱えて、いざ熊本へと旅立つ!