2022年のアメリカツアー時に作曲し帰国後形にしたというバラード曲「Memorable」では、暗転したステージにメンバーを照らす柔らかい光が射し込み、会場はあたたかい空気に包まれる。ピアノとストリングスをバックにSAIKIがしっとりと歌いはじめた「Daydreaming」など、激しいロックだけではなく、伸びやかなSAIKIの歌声が堪能できるミディアム・ナンバーも名曲揃い。BAND-MAIDの作曲のほとんどを手掛けるKANAMIのソングライティング力もこのバンドの躍進を支えているひとつだとあらためて気付かされる。
お給仕も終盤にさしかかったところで、「DICE」の演奏終わりからそのままAKANEのドラム・ソロへ突入して始まった「HATE?」を披露。セッションを組み込んだスペシャル・ヴァージョンとなっており、MISAの唸るベース・ソロとKANAMIのメロディアスなギター・ソロの応酬で沸かせるなど、演奏力の確かさをこれでもかと見せつける。
「BAND-MAID 10TH ANNIVERSARY TOUR(JAPAN)」の様子(Photo by FG5) 画像 7/7
白熱したセッションの後は、小鳩ミクによる恒例のコールアンドレスポンスである「おまじないタイム」かと思いきや、この日はなんと、AKANEによる「おまじないタイム」も繰り広げられることに。小鳩ミクのコールに負けじと披露された、AKANEの普段のキャラクターとは異なる衝撃的な「萌え萌え、キュンキュン」コールとポーズに、大爆笑の会場とメンバー。十八番のコールを奪われがっくりとステージに倒れ込むポーズをする小鳩ミクだったが、ご主人様・お嬢様の応援コールで立ち直り、再び会場を盛り上げていく。
SAIKIの「ラストスパート、行こうかー!」の掛け声を皮切りに、「FREEDOM」や骨太なミドルテンポの楽曲「Manners」をしっかりとした迫力ある歌声で歌い上げると、アメリカのフェスでもシンガロングが巻き起こったミディアム・ナンバー「endless Story」のイントロへと繋がっていく。この日も当然のようにシンガロングが巻き起こったが、会場から歌声が聞こえる箇所になると、ステージ後ろから客席へ向かって光が射し、会場に集まったご主人様・お嬢様を照らしていく。観客ひとりひとりの表情が見えていたのだろう、メンバーにも笑顔があふれると、頬を緩めたSAIKIが「最高―!」と叫ぶ。ラストは、お給仕の定番曲でもある「Screaming」「NO GOD」を全力疾走のまま演奏、約2時間20分に亘り、全23曲を披露しステージを締めくくった。
(Photo and Text by FG5)
