2023.07.18 公開
緑黄色社会、自身最大規模の全国ホールツアー「pink blue tour 2023」完走

緑黄色社会(photo by AZUSA TAKADA)  画像 1/8

「あうん」で見せたポップの切れ味。観る者の心をかき乱した「うそつき」の美しいセンチメント。未踏の地への冒険精神が、ダイナミックなサウンドスケープとして立ち昇った「Starry Drama」……。『pink blue』の多彩な創造性を、「大人ごっこ」「Shout Baby」といった既発曲群と織り合わせながら、刻一刻と会場のテンションを高めていく緑黄色社会。「東京!まだ声出し足りないんじゃないの? まだまだいけるかな?」という長屋のコールに導かれて、「始まりの歌」では場内を真っ白に照らし出したライトの中、会場一丸のシンガロングが鳴り渡り、ライブの喜びそのものの景色を編み上げていった。

「どう、ライブ? ライブってすごいでしょう? こんなにも、心が動いて、熱くなる。二次元とかAIとも違う――私たちと、みんなだからできるライブがある」

歌声とクラップが「キャラクター」でさらに高まり、ラストの「Slow dance」へ――という場面で、長屋はそんなふうに客席に語りかけていた。歓声もシンガロングもないライブを展開してきた時期も、この瞬間を夢見て新たな楽曲を作り続けてきた緑黄色社会。困難を踏み越えてきた4人のポップの強さが、本編最後を飾った「Slow dance」のアップリフティングな歌と音像を通して、5,000人の観客を揺さぶり、包み込んでいった。「『pink blue tour 2023』、一緒にライブしてくれてありがとう!」。長屋の喜びの言葉を残して、メンバーは舞台を去っていった。

緑黄色社会、自身最大規模の全国ホールツアー「pink blue tour 2023」完走緑黄色社会(photo by AZUSA TAKADA)  画像 8/8

アンコール改め《BONUS STAGE》の冒頭、恒例の「しんご先生 a.k.a. SHINGO TEACHER」による物販グッズ紹介でも、思わず小林が「しんご先生、サクラ雇ったな! あんなに盛り上がるわけないもん(笑)」と突っ込むほどの熱気に満ちていたこの日のステージ。まだ声出しOKでなかった昨年の日本武道館公演に際して「一緒に歌いたいなと思って作った」という楽曲「時のいたずら」の、《歌を歌えば 君が笑う/君が笑えば 僕が歌う》のフレーズが、会場の歌声とともに響いていた。最後は小林の「ぶち上がれ!」の絶叫とともに「sabotage」で圧巻の大団円!「ライブ楽しかった? またライブしようね!」という長屋の言葉が、この日のライブの爽快感を何より明快に象徴していた。

フジテレビ系月9ドラマ『真夏のシンデレラ』の書き下ろし主題歌「サマータイムシンデレラ」&挿入歌「マジックアワー」も現在オンエア中の緑黄色社会。ツアー中に迎えたバンド結成記念日・7月4日には、神奈川・横浜アリーナ/愛知・日本ガイシホール/大阪・大阪城ホールを巡る自身初のアリーナツアー「リョクシャ化計画2023-2024」の開催も発表。まだまだ続く快進撃の先に、どんなポップの新次元が広がっているのか、今から楽しみで仕方がない。


<ライブレポート|文:高橋智樹>

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