6月17日、中野サンプラザにて、Awesome City Clubがワンマンライブを開催した。本公演は、7月に閉館する中野サンプラザの50年の歴史を締めくくるイベント『さよなら中野サンプラザ音楽祭』の一環として行われたもの。Awesome City Clubにとっては2021年8月9日に開催した『Awesome Talks - One Man Show 2021 -』以来の中野サンプラザ公演であり、そもそもワンマンライブを開催するのが約1年ぶり。Awesome City Clubの音楽的な多面性と歴史、そして未来への変化を凝縮したライブとなった。
【写真】中野サンプラザでワンマンライブを開催したAwesome City Club(18枚)
開場中、ステージ上に置かれたレコードプレイヤーから鳥のさえずりが流れる。PORINにとって「庭園」は実家にもある大切なものであり、彼女のアパレルブランドやソロプロジェクトでもモチーフになっているもの。そんな庭園を思わせる心落ち着く音で、Awesome City Clubの「庭」へと誘われるようだ。ステージ上には、公演前にメンバーがインタビューで話していた通り、楽器やアンプがたくさん置かれていて真ん中には絨毯が。そんな舞台のセットも、Awesome City Clubにとっての「ホーム」を演出しているよう。
Awesome City Club(写真:川島伸一) 画像 2/18
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開演時間になるとゆっくりと照明が落ちていき、温かい拍手に迎えられる中、サポートメンバー3人を含めた6人が登場。下手(ステージに向かって左側)からatagi、宮川純(Key)、モリシー、PORIN、林あぐり(Ba)、伊吹文裕(Dr)の順で半円を描くように並ぶ。終演後にメンバーから話を聞くと、この立ち位置はバンドとして変化し続けるための初の試みだったという。この立ち位置もまたオーディエンスを輪の中へと招くようで、中野サンプラザがAwesome City Clubの温かいホームと化していた。
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PORINがレコードプレイヤーから針を上げると、「ワン、ツー!」とドラムのカウントにモリシーの爽快なギターカッティングが乗って、オーディエンスのクラップも交わり、冒頭からグルーヴィーな音の渦で会場を包み込んでいく。1曲目に演奏されたのは「SHIBUYA MARK CITY CITY POP PROJECT」のイメージソングとして書き下ろされた「Talkin’ Talkin’」。atagiのルーツが色濃く見えるミニマルファンクで、Awesome City Clubのライブという空間では《誰も見た事ない顔見せてよ》とオーディエンスを解放へと導いていく。間奏では「どうもAwesome City Clubです! やっとみんなに会えました!」と喜びを見せるatagiに、人差し指と中指でハートマークを作るPORIN。続けて「SUNNY GIRL」、「Heart of Gold」、「夏の午後はコバルト」と、太陽が降り注ぐ夏の特別な1日を音楽で浮かび上がらせるように描いていく。梅雨のど真ん中にもかかわらず夏を先取りするような晴天だったこの日にもぴったりなサウンドスケープだ。
MCでは「声出し解禁後、初めてのライブです」という言葉に会場から大きな歓声が湧き、「やばい、泣いちゃうかも」とこぼすPORINと、同じく感動するatagiとモリシー。そこからは「またたき」、『モダンラブ・東京~さまざまな愛の形~』のインスパイアソング「ユメ ユメ ユメ」、主題歌「Setting Sail 〜 モダンラブ・東京 〜」と、比較的最近の楽曲を立て続けに披露。atagiとPORINによる二人の歌が繊細に絡まり合って聴き手の心を優しくタッチし、そしてモリシーが奏でるギターで心の蓋をあけて奥で眠らせていた感情を溢れ出させてくれる。