2017.07.27 公開
【ライブレポート】メンバーへYUTARO(B)を迎えた新生sadsが「try out a new blade」と題した東名阪ツアーを実施!

Photo by Yoshitaka Kashiwada,Yoshihiro Mori  画像 1/5

sadsが7月15日から「try out a new blade」と題した東名阪ツアーを名古屋を皮切りに開催した。

WWSチャンネルでは、7月21日(金)に恵比寿リキッドルームで行われたライブの模様をお届けしたい。

 

 場内は期待を背負った満員の観客たちの熱気で、むせかえるような暑さが支配していた。つねに攻めの姿勢で観客たちをけしかけてゆくsadsだもの、いくら場内にクーラーを通し冷気を送り込んでたとはいえ、開演前から冷房(あまり)効かずの熱気が渦巻いてるとなれば、ライブが始まったら会場中がどうなるかは容易に想像がつく。

 

sadsのステージは、お馴染み『HONEY』からスタート。タイトなビートとソリッドなギターが唸りを上げると同時に、観客たちが一斉に前へ押し寄せれば、満員の観客たちの頭上を次々と人が転がりだした。舞台上のメンバーたちは、何より清春自身が闘いを挑むよう、つねに身体を前のめりにしながら客席へ挑みかかっていた。楽曲を半分も演奏してない時点で身につけていたジャケットを脱ぎ去ったのも、気合いの現れ。そしてもう一つの理由が、後にわかったことだが、舞台上の冷房を一切止めていたことから、すでにサウナにも似た状態がステージには生まれていた。その熱気により、たまらずに脱いでしまったようだ。場内からは無数の拳が突き上げられ、清春と一緒に歌い叫んでいた。今夜は、冒頭から限界を超える闘いが繰り広げられそうだ。

【ライブレポート】メンバーへYUTARO(B)を迎えた新生sadsが「try out a new blade」と題した東名阪ツアーを実施!Photo by Yoshitaka Kashiwada,Yoshihiro Mori  画像 2/5

続く『HATE』でさらに激しさを増した演奏をぶつけだした。その気迫に負けまいと、同じよう気力のレベルをさらに上げ舞台上へ闘いを挑む観客たち。この会場に生まれていたのは、気迫と気迫のぶつかりあい。気力と気力の殴り合いだ。

猛り狂う音が場内へ牙を剥いて襲いかかった。『See A PINK Thin Cellophane』が会場内で暴れだした頃には、そこいら中から熱狂する魂の咆哮が飛び交っていた。

「今日は、あと1曲でお終いにしようかと。楽しんでください」と清春がジョーク混じりの言葉を告げた後に飛び出したのが、地の底から沸き上がるような激しい高揚を抱いた『spin』。その歌と演奏に触れたとたん、その空間は一気に、闇夜に催した儀式の中、クライマックスへ向け高揚のダンスに興じている場へと塗り変わっていた。

場内に生まれたホラームードへ、さらに黒く熱狂を描き加えるよう『GRAVE』が流れだした。振幅する感情のままに言葉や歌声を吐き出してゆく。ミッド&ラウドな音の上で嘆くように歌い叫ぶ清春の、なんてカリスマ然とした姿だったことか。

重く奈落へ沈むように響きだしたサイコホラー/ラウドグルーヴな『BREATHLESS』では、満員の観客たちがデンジャラスで淫らな演奏に刺激され、意識がトリップ。気持ち乱れるまま熱狂の中で踊り狂えばいい、まさにそんな気分。終盤では、清春と満員の観客たちによる「BREATHLESS」と叫びあう声も飛び交っていた。

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K-A-Zのギターソロを挟み、ライブは後半戦へ。ドラマティックな『May I Stay』を通し、会場中を黒く重いグルーヴが包み込んでゆく。その演奏は、後半へ進むにつれ、次第に光を帯びてゆくようにも感じられた。

ここで清春が、会場中のクーラーを止めさせた。熱気の抑止効果になっていた冷房を止め、攻めのライブに転じたとたん、会場は観客たちの騒ぐ熱気により、どんどん気温を上げ、瞬時に場内をサウナ状態へ導きだした。

攻めの姿勢を抱きながらも、淫らに、なまめかしく迫った『FREEZE』。続く『MAKING MOTHER FUCKER』では、満員の観客たちの頭上を、次々と人が転がり続けていた。大勢の人たちが「FU××」と叫びながら、刺激的なロックンロールナンバーに煽られ、理性を真っ白に塗り替えていった。 
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 凄まじいブラストビート飛び交った『NIGHTMARE』でも、パンキッシュな演奏に刺激を受け、痛い恍惚の夢の中で熱狂に溺れれば、『WHITE HELL』ではゴリゴリとしたヘヴィグルーヴを突きつけ、熱狂と熱気で会場中を支配していった。いや、熱気にやられ、意識が朦朧としていたと言ったほうが正解か。そこに負けてはなるかと、大勢の人たちが気迫でsadsのライブへ立ち向かっていた。

最後には『AMARYLLIS』をブースト。挑みかかるよう荒々しい歌声で煽り続ける清春。野獣の咆哮のような演奏に負けじと、全力で暴れ続ける観客たち。まるでサウナの中、どちらが先に倒れるかを競いあうように、お互いが気迫を振り絞り、熱気あふれる中で熱狂の炎を燃やし続けていた。今宵の灼熱は限界値を超えそうだ。

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アンコールは、GOのドラムソロをきっかけに、ゴシックホラーなパーティを描くように『GOTHIC CIRCUS』から始まった。続く『evil』では、さらに黒い熱狂の儀式を描き、場内を熱気渦巻く妖しい宴の場へ導いていった。最後に彼らは、モンスターファスト曲『WASTED』を通し、会場中を黒い熱狂に塗り上げた。舞台上もフロアーも…いや、会場中が巨大なサウナと化していた。流れる汗さえすべて振り絞るように、誰もが限界に挑戦する勢いで暴れ狂っていた。

2回目のアンコールでは、パンキッシュな『THANK YOU』と『CRACKER'S BABY』を立て続けに演奏。会場中に拳が突き上がれば、次々と人が舞台へ向け転がり続けてゆく様が、そこには広がっていた。

【ライブレポート】メンバーへYUTARO(B)を迎えた新生sadsが「try out a new blade」と題した東名阪ツアーを実施!Photo by Yoshitaka Kashiwada,Yoshihiro Mori  画像 5/5

sadsのライブには、余計な心の荷物など必要ない。ただただ、暴れ狂う音へ飛び乗り、共に無邪気に騒げばいい。彼らは熱気あふれる空間の中で、つねに気迫と興奮をプレゼントしてくれる。ただし、そのプレゼントを同じく気迫で受け取らないことには、楽しむどころか開封するのさえ難しい。己の限界を超える楽しさの意味を知りたい連中はぜひ心も身体もヘトヘトになるまで熱狂の中で騒ぎ狂って欲しい。そこで、理性を解き放った本当の自分の姿を発見してくれ。

sadsは、来年復活7周年を迎えることから、"7"にまつわる活動をいろいろ計画している。今年のsadsは、夏に行った3本のライブで活動を終えるが、これから始まる水面下での活動を通し、来年どんな我が道な狂いっぷりを見せてくれるのか楽しみになってきた。

(取材・文:長澤智典)

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