切々とした、でも、確かな情熱を抱いたエレピの音色に乗せ、清水翔太は愛しい人へ向け、口に出して言えなかった思いを伝えるように『花束のかわりにメロディーを』を歌っていた。彼は伝えてきた、「花束のかわりにメロディーを」と。でも、愛しい人へ向けて歌う清水翔太の声は、観客たちへ向けた告白がわりのメロディーのようにも届いていた。彼のどっぷりメロウな歌声が心を揺らすたびに、客席のあちこちから黄色い歓声が飛びかっていたのも印象的だった。エレピの演奏のみを背景に歌うことで、これまで以上に清水翔太の魅力を成す歌声の温もりに触れていられたのも嬉しかった。
続く、親しみ覚える『My Boo』を通して、清水翔太はこの空間に大きなワンラブの景色を作りあげていった。彼の歌に合わせ、フロアからも甘い掛け合いの声が届いていたのも印象的だ。誰もが清水翔太に口説かれ、ラブの気持ちへ導かれるように、その歌声や演奏に酔いしれていた。大勢の人たちが、清水翔太と一緒に歌っていた様も、とても温かい景色として見えていた。
最後に清水翔太は、この空間に眩しい輝きを降り注ぐように『Good Life』を歌っていた。それまでずっとサングラス姿だった清水翔太が、ついにサングラスを外した姿で歌いだしたのも印象的だ。この曲でも彼は、客席中の人たちと気持ちのチューニングを合わせ、一緒に心地好く身体を揺らしながら,この空間に生まれたハートフルな熱を、みずからの身体へ染み込ませるように歌っていた。
アンコールでは、この日出演したアーティストたちを呼び入れ、みんなで『HOME』を歌唱。同じイベントを熱狂の景色で彩った仲間たちと思いを育もうとする、清水翔太の心意気が嬉しいじゃない。舞台の上には、BUDDiiS・PSYCHIC FEVER・GENICの中から選ばれた精鋭たちが登場。清水翔太の歌う『HOME』の歌を受け継ぐように、登壇したメンバーらが次々と歌をリレーしてゆく。一人一人異なる色の歌声で『HOME』を彩る様も、とても新鮮だ。何より、舞台の上にいる7人が思いを一つにサビを歌ったときのエモーショナルな合唱の声が、嬉しく気持ちを奮わせた。曲が進むごとに歌い手たちの声にもパワーが漲ってゆくのもしっかりと伝わってきた。終盤には観客たちも歌に参加し、みんなで『HOME』を温かい歌声で彩っていた。
こういうスペシャルなコラボを味わえるのも「BREAK OUT祭り」だからこそ。次の開催も楽しみになってきた。
(文:長澤智典)