2023.04.17 公開
【ライブレポート】FAIRY FOREが18年ぶりに1日限定復活

FAIRY FORE(※提供写真)  画像 1/4

4月15日、ロックバンド・FAIRY FOREが1日限定復活を果たした。本記事では復活ライヴの模様をお届けする。

90年代から2000年代のいわゆるヴィジュアル系の黄金期に活動したFAIRY FOREは、耳なじみのよいメロディと歌で多くのファンを魅了した。エイベックスからメジャーデビューを果たしたが、2005年12月11日に解散。現在、ヴォーカルの現王園崇はJagged Little Pill(ジャグド リトル ピル)としてソロ活動を積極的に続ける一方、ベースのYASU、ドラムのYOKOは第一線から退いている。

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そんな彼らの復活ライヴは、先輩でもあるHUSHによるイベント『HUSH 3days -cocoon8414155516-』がその舞台となった。FAIRY FOREにとっても馴染み深い横浜7th Avenueはソールドアウト。ぎゅうぎゅう詰めになった観客を前に、お馴染みの懐かしい曲にパロディーを取り込んだSEが流れ、笑い声と手拍子が沸き起こる。ライヴハウスという空間の中では、期待でいっぱいのワクワクした気持ちが最後方まで伝わってくるように感じられるのが不思議だ。ひと際大きな歓声を受けて、現王園が登場。いよいよ18年ぶりのFAIRY FOREのライヴが始まった。

「一人でも多くの人が知っていて、喜ぶであろうと曲を選んだ」というセットリストの一曲目は、「SWEET-ness」。イントロの柔らかなサウンドと明るい光が会場に広がっていくさまに、ファンは一気に当時へ連れ去られたのではないだろうか。現王園の変わらぬ歌声が耳に飛び込んできたとき、FAIRY FOREが目の前にいることをたまらなく実感した。

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キャッチーで伸びやかなメロディに、楽器隊から生み出されるシンプルなバンドサウンド。その音楽もこのライヴに向かう姿勢もピュアでまっすぐだ。特段に緊張するでもなく、大仰に感傷に浸るでもなく、ただこの瞬間、音楽に没頭する姿は潔く、見た目よりも大きく感じた。そのまま「皆さま、一緒に踊りましょう!」と「CHILD WIZARD」が始まると、軽快なリズムに自然に体が揺れる。そしてサビへと差し掛かると、思わず口ずさんでいる自分に気づく。


冗談を交えつつ、「お久しぶりです」と軽くMCを挟むと、続いて「IDOLL」。YASUが全力でぶつかってくるようなプレイを見せる後ろで、YOKOはクールにプレイに集中。ファンの反応を確かめるように、フロアへ目をやっていた現王園から笑顔がこぼれた。「VIVID」では、勢いよく転がっていくようなテンポに合わせ、ファンも一緒に元気いっぱい声を上げる。エネルギッシュなステージはブランクを感じさせない。

「全開でやってます」というYASUの言葉と、冗談混じりにチラッと見せる疲労具合どおり、この6曲に全力を注ごうとしているのが見て取れる。それも、「楽しみたいし、楽しませたい」という現王園の心からの願いゆえだ。ことさらドラマチックに復活を盛り上げるのではなく、ただFAIRY FOREの音楽を愛し続けてくれているファンにもう一度その音楽を届ける、今日に賭けるそんなシンプルな思いが伝わってきた。

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「SEXUAL EXCITEMENT」から、いよいよ熱気は高まり、さらなる盛り上がりへ。YOKOは激しくパワフルなプレイで気迫を見せ、YASUはすべてを出し尽くす。曲が終わったところで、お互いに軽口を叩いていじり合い、笑い合い、この瞬間を噛み締める。でも、そんな時間もあと少し。最後に届けられたのは、デビュー曲である「LOVE SICK」だ。一曲目からFAIRY FOREというバンドの豊かな才能に改めて目を見張り、ここまで素直に楽しんできたが、ファンの合唱を耳にすると思わずぐっと胸が熱くなった。

何度も何度もファンへの感謝を口にし、互いに笑顔を交わし、じゃれ合ってはしゃぐ3人。ただ潔くまっすぐに、自分たちの音楽を奏で、現在の自分たちにできることを全うした姿は晴れ晴れとしていた。実はこのライヴは、たまたま現王園が思い立ってHUSHの橋都章人にかけた一本の電話が、きっかけになったのだという。そんな偶然によって生まれた奇跡の夜だったからこそ、ファンとともに自分たちの音楽をひたすら楽しむ、かけがえのない時間となったのだろう。そのときを共にできたことに心から感謝したい。

最後に一言付け足すとするならば、「何かが、始まる…」?

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