ここで、改めて、「みずいろ」のドレスコードに触れながら客席を見渡した二人は、みずいろのデニムスカートを履いているファンを発見。彪我が「水色のデニムスカート……爽やかな曲が書けそう」とこぼすと、雅功がアコギを弾き始め、即興で曲を作って歌い、最後の締めまで完璧に息を合わせ、場内を沸かせた。そして、隔月ライブ恒例となっているカバー&新曲コーナーへと突入。雅功が「思い出に残ってる曲です」と紹介したのは、中学生時代に全国を回った「菌活の旅」のファイナルだった東京公演でカバーし、のちにシングル「あやまリズム」のカップリングにも収録されたEvery Little Thingのヒット曲「fragile」。全編にわたって彪我が丁寧に繊細に歌い上げると、雅功作のバラード「ある宵のこと」では、もどかしい恋愛模様を短編小説のように綴り、続きが読みたくなるような余韻も残し、彪我作の自分応援ソング「強がり虫」では二人が向き合って声を重ね、迫力のあるハーモニーを展開。3月の新曲を続けた中盤は、それぞれの異なる個性が際立ちつつも、デュオになった時にはやはり特別な輝きを放つことを再確認させられるような時間となっていた。
1年間に渡った隔月のワンマンライブを振り返り、「有意義な時間になったと思います。これも会場に足を運んでくださった皆さんのおかげです」と観客に向けて感謝の言葉を伝えた雅功作の7月の新曲「歪」からは後半戦へ。まず、雅功だけがエレキギターを弾きながら、速いパッセージのメロディに乗せて、パワフルでエッジーな歌声で毒気のある刺激を振り撒くと、「でぃすとーしょん」では彪我もエレキギターをかき鳴らし、雅功の「お前ら、そんなもんか!」という煽りを合図に、観客はジャンプで応戦。さらに、彪我が「ぶっぱなそーぜ!」とシャウトし、「たけのこミサイル」でリア充への嫉妬を全力で放つと、会場は熱気の渦へと包まれていくと、雅功は「いやー、ライブしてる実感があるわ。みなさん、500点満点です!」と満足げな表情を見せた。
最後に、10代後半にコロナ禍に突入して、二人とも21歳になったことに触れ、「いろんな支えがあって、もらってばかりの10代でした。これからはもっともっとみんなに何かを残せるような二人になりたいなと強く思ってます」と語り、グループ名にある「桜」をモチーフに卒業や別れをテーマにした前向きなメッセージソングで、今年2月にデジタルシングルとしてリリースしたフォークバラード「花びら、始まりを告げて」を全力でエモーショナルに歌唱し、カラーソング「simple」で会場全体が「みずいろ」に染め上げて本編を締めくくった。
アンコールでは、二人で作り上げた「辛夷(こぶし)のつぼみ」を通して、これからも二人で前へと進んでいく決意を表明。これで終わりかと思いきや、雅功が「ファイナルじゃないですか。みんなも歌い足りないよね」と話し始め、サプライズでのダブルアンコールが実現。「最後はみんなで歌って終わりましょう」と呼びかけると、ライブの定番曲「みちくさこうしんきょく」ではコロナ前と変わらないような大合唱となった。思わず涙がそそられるほど感動的な光景を前にした雅功は曲中に「みんなと声を出して一緒に歌うことが、隔月ライブで目指す場所だったのかなと思います」と口にした。大きな歓声と温かい拍手に包まれる中で、雅功は再び、「お前ら、最高だぜ!」と声をあげた。「まじで今日が目指してた場所の1つだったと思いました。みんなで声を出して、歌える日が来るなんて、正直、もうないんじゃないかって思ったこともありました。いやー、諦めないことですね。みなさんのおかげです。ありがとうございます」と深々とお辞儀をし、顔を上げて晴れやかで充実感を湛えた表情を見せ、約1年間に渡って行ってきた隔月ライブは一緒に声を出して歌える喜びと共に幕を下ろした。
なお、さくらしめじは、現在、キャリア最長となる全国21箇所25公演に及ぶ弾き語りによるライブハウスツアー『桜TOUR 2023<早春>』を開催中。さらに、ツアーの後半戦として、5都市8公演に及ぶライブハウスツアー『桜TOUR 2023<晩春>』と結成9年目の記念日である6月14日(水)にはツアーファイナル公演として、『桜TOUR 2023 FINAL<しめたん>』を東京・EX THEATER ROPPONGIで開催する。