記念すべき初戦はRayとTKM。2人は会場に集まった満員の観客に「人多いっすね……」と驚いた様子。じゃんけんで先攻になったTKMは、いきなりさまざまな種類のベースを喉から響かせて場内を沸かせる。さらにクリックロールなどのスキルを応酬した。後攻のRayは出だしにメロディ、続いて目が覚める大音量のスネア、さらに歌までも聞かせる。巧みなマイキングで低音を自由自在に操った。2ラウンド目は互いにスキルでアンサーしあう非常にハイレベルなバトルだったが、審査員は3人ともにRayに投票。AFRAは「僅差だった」という前提で、試合の流れをうまくコントロールしたRayを評価した。
BEATCITY JAPAN(※提供写真) 画像 8/19
BEATCITY JAPAN(※提供写真) 画像 9/19
BEATCITY JAPAN(※提供写真) 画像 10/19
次に登場したのは、GENと先月開催された「BEATCITY JAPAN PRE」にも出場したRUSYとのバトル。先攻のRUSYはエレクトリックなサウンド感に抜群に大きい低音を響かせて観客を驚かせる。その中に彼のシグネチャーとも言える「キューッ」という信号音も噛ませた。GENは音の高低差と深度を絶妙に使い分け、さらに動物の鳴き声のような音を混ぜたパフォーマンスを聞かせた。RUSYは自分のターンになると、流れを受けながらうまく自分の世界観を表現した。低音が効いたドラムンベースやスネアの早打ちを的確に鳴らして観客を躍らせた。その流れを切ったGENのプレイに客席から手拍子が巻き起こったが、審査員は全員RUSYを選んだ。Kennyは2人を「スーパードープ」と絶賛。「個人的に2ラウンド目が決め手だったがどちらも素晴らしかった」と話した。
3試合目のKAJIはRUSYも所属するユニット・SARUKANIのメンバーでもある。対するDarrenもダークホースとして注目されているビートボクサーだ。Darrenは前半に歌をベースにムードある雰囲気を作り、後半は一気に畳み掛けるビートにスイッチする構築されたパフォーマンスを聞かせた。だがKAJIは音圧とバイブスで試合の流れを無理やり自分側に引き寄せる。ウワモノはハイエナジーなEDMサウンドで、リズムはベース、スネア、キックのどれも大音量。サイケトランスのような展開に入ると観客も手拍子。ラストには警笛のような音も混ぜた。ジャッジは全員KAJI。まったく違うスタイルの両者であったが、NaPoMは「どっちがこの場を制したかってのがポイントになった」と話した。
BEATCITY JAPAN(※提供写真) 画像 11/19
BEATCITY JAPAN(※提供写真) 画像 12/19
BEATCITY JAPAN(※提供写真) 画像 13/19
MOMIMARUとCheeのバトルは白熱した内容になった。Cheeはドープなノリから細かいスキルを織り交ぜ、ジェスチャーや動きでもMOMIMARUを挑発する。個々の技の音も大きく、クオリティが高い。一方のMOMIMARUは「いくぞ」とクールに言い放つと正確なタイミングで、四つ打ちのキックを鳴らす。まるで動と静。互いに一歩も引かないバトルに、ステージは一触即発の雰囲気に包まれる。2人は試合前のインタビューでともに「優勝する」と宣言していただけに、内容は実力伯仲だった。難しいジャッジになったが軍配はMOMIMARUに。AFRAはこのバトルを「限られた音数と細かい(音の)粒の配置で戦ってた」と解説し、その上で「ひとつひとつの音のクオリティがより高かった」と決め手を話した。
準決勝に入る前に1月の「BEATCITY JAPAN PRE」のバトルで優勝したEttomanのショーケース。ブラックミュージックのノリを崩さずにヒップホップ〜ダブステップ〜EDM〜ドラムンベースを自由に行き来する。クールでタイトなスタイルが魅力だが同時に人間臭さが感じられる場面も。1曲目が終わった後、客席から「ぱっぱ〜」と娘さんから声援を受ける。一気に表情が緩んで、場内も癒されたシーンだった。また今回はTATSUAKIをゲストに迎え、ユニット・iLLDEMとしてもパフォーマンス。5年ぶりの復活パフォーマンスとなった彼らは厚みのある音とクリエイティビティを披露した。2人は超満員の客席を見て「2015年にもO-Eastのステージに立ったんですが、今回はお客さんの数が全然違う」と笑顔で話していた。
BEATCITY JAPAN(※提供写真) 画像 14/19
