「MUCCです。こんなたくさんの人の前でエッチな気分になっちゃったな(笑)。楽しんでもらってるでしょうか?昨日とは打って変わって、エンターテインメントな感じの楽しげな笑顔のMUCCになっております。かと思いきや、この長い年月をかけて、最初の10年と後の10年を分けると、まだまだ暗い部分が後の10年の先っちょの方に残っているので、そういう曲もちょいちょいありますんで、いい感じのバランスで楽しんで帰ってください」(逹瑯)
そんな逹瑯の言葉どおり、この日は、解放の中にも、「JAPANESE」「メディアの銃声」といった、メッセージの世界に深く入り込んで届けなければならない、ある意味疲労度の高い楽曲たちも流れの中には存在していたのだが、「秘密」や「ピュアブラック」というYUKKE作曲の、バンドサウンドとR&Bやスウィングなどの要素との融合ロックが、ライヴを前日とは確実に違うSHOWへと誘っていたのだった。
メインコンポーザーであるミヤの生み出すMUCCの主軸となる楽曲と歌詞世界と、そんなミヤの楽曲に乗せる、表現力と感受性の高さを感じさせられる、“さすが”な逹瑯の言葉と感情の置き方の素晴しい歌詞こそ、MUCCという歴史を支えてきた個性ではあるが、SATOちの人間性そのものが窺い知れるピュアでストレートなSATOち曲も、“オシャレ曲”と呼ばれるYUKKEが生み出す“YUKKE節”は、コアなムックファンはもちろん、“まだ見ぬ未来のあなた”の胸に必ずや響くMUCCの個性であると確信できたのも、この2日のライヴを観て感じた。
また、前日のアンコールの1曲目に持ってきていた「ジオラマ」と同様に、“20周年目の武道館に響かせたかった”に違いなかったであろう楽曲「暁」が届けられたのも、実に感慨深かった。
この「暁」は、東日本大震災の影響を受け、“自分たちにも何かできないか”と考えた彼らが、震災直後に急遽製作し、2011年5月21日、22日に行われた日本武道館でのライヴにおいて、限定販売シングルとして1枚500円で販売され、収益金が寄付された音源なのである。
本編ラストに選んだ「シャングリラ」で、2日間の武道館ライヴを締めくくったMUCCは、ここでこの先まだまだ続いていく【過去との対面】を告知した。
オールタイム セルフカヴァーアルバム『殺シノ調べⅡThis is NOT Greatest Hits』のリリース(9月13日)、9月9日から始まる『MUCC 20TH ANNIVERSARY 殺シノ調べThis is NOT Greatest Tour』、MV集のリリース(10月)、豪華アーティストが名を連ねるトリビュートアルバムのリリース(11月リリース)、そして、トリビュートアルバムのリリースを記念して11月30日から行われる、トリビュートアルバム対バンツアー『えん7』と、12月27日に、「20TH ANNIVERSARY MUCC祭『えん7FAINAL』in 武道館」を、ここ、日本武道館にて行うことを発表したのだ。
