21日の『MUCC 20TH-21ST ANNIVERSARY 飛翔への脈拍 ~そして伝説へ~ 第Ⅱ章06-17 極志球業シ終T』は、タイトルが示すが如く2006年から2017年という11年を中心に組まれたセットリストによって構成されたライヴだった。
「20年間の中で出逢えた全ての人たちと、まだ見ぬ未来のあなたへ。心から、心からの感謝を。ありがとう———」
「脈拍」の始まりの前に、真っ白な衣装を纏った逹瑯はそっと言葉を置いた。拍手に包み込まれる客席。バンドにとって、これ以上に幸せな空間はないだろう。客席からの想いを音と唄で返すかのように、ミヤとYUKKEは早くも上手と下手を行き来し、オーディエンスをそのサウンドに巻込んでいった。
「暴れよう」
逹瑯の一言から始まった「塗り潰すなら臙脂」は、イントロで大きな歓声を生み出すと、畳み掛けるSATOちのドラムに煽られ、客席はオーディエンスの拳で埋め尽くされた。既に、この時点で昨日の空気感とは全く別モノのライヴがそこに生まれていた。逹瑯の言葉を借りて記すならば、前日が【闇と痛みからの解放】であれば、この日は間違いなく【自我の解放】であっただろう。
最新アルバム『脈拍』の中でも、特にありのままの開放感を感じるヘヴィチューンである「KILLEЯ」では、スタンディングエリアに巨大なサークルモッシュが出現するという、ここ最近のMUCCのライヴド迫力の景色を眺めることが出来た。
独特な和を感じさせ、バンドに個性的な奥行きを描き足した「極彩」を挟み、過去のムックからは想像が付かない逹瑯とミヤの艶っぽい絡みが見せ場となる「JOKER」へと繋がれた頃には、メンバーもオーディエンスも完全に自らの全てを解放していたように思う。
「JOKER」で魅せる逹瑯とミヤの官能的な絡みと、マイクスタンドにエロティックにまとわり付きながら唄う逹瑯のエンターテインメントは、前日の“ムック”には無かった個性である。
