2022.11.29 公開
坂本真綾、1年8カ月ぶりとなる再始動ライブを開催

坂本真綾(※提供写真)  画像 1/8

初日は「みどりのはね」、2日目は「ねこといぬ」という日替わりメニューでも楽しませてくれながら、中盤では来年の1月25日にリリースされることが発表されたばかりの新曲「まだ遠くにいる」と「un_mute」をいち早く披露。WOWOWオリジナルアニメ『火狩りの王』のEDテーマ「まだ遠くにいる」は静寂と激しさがシームレスに交差するようなドラマティックなアップナンバーで、怒涛のバンドサウンドの中で緻密な熱唱を繰り広げる姿が圧巻だった。そして「un_mute」はTVアニメ『REVENGER』のEDテーマとして書き下ろされた、美しいバラードナンバー。そして「『un_mute』って産休明けの世界一カッコいい言い方ですよね、とか言われましたけど(笑)。これ考えたの私じゃなくて岩里先生なんですよ」と作詞が岩里祐穂によるものであること、この曲名を気に入って今回のライブのタイトルにしたことを明かした。

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「お望み通り」をバンドが素敵なインストで披露してくれている間に、淡いカラーがお洒落なパンツスーツ姿に衣装チェンジしてライブは終盤へ突入。「カザミドリ」は「昨年亡くなった渡辺善太郎さんに初めてアレンジしてもらった曲。寂しいけど善太郎さんにこの歌を届けたい」と話し、彼に最後にアレンジしてもらった曲「Hidden Notes」も力強く披露した。こんなエピソードから、序盤に披露した「雨が降る」は20周年記念トリビュートアルバム『REQUEST』でTRUSTRICKの神田沙也加がカバーしてくれたことを思い出したファンも多かったのではないだろうか。この日の坂本は、みんなからの温かな祝福ムードに包まれ、再始動を誓い、そして色んな想いを抱えながら歌っていることが感じ取れた。

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「やっぱり久しぶりのライブは緊張します(笑)。こうして『un_mute』できて良かったです、ありがとうございます」とホッとしたような顔を見せた。「昔からライブの終わりには『また会いましょー!お元気でー!』なんて言っていましたが、そんなことは当たり前じゃないんだってことをリアルに感じるような年齢になってきました。歳を重ねると、誰かに突然、もう会えなくなったりすることも増えていく。だからこそ、いつになるかわからないけどもし次に会える時は最高の気分で会えるように、自分を大事に1日1日を生きていこうね」と語り「とりあえず私、『まだ歌っていく気があります』ってことを皆さんに伝えるために今日は来ました」と語ると、客席から大きな喜びと励ましのような拍手が届けられた。

キャリアは子役から始まり、「歌手になりたい」なんて思う間もなく10代でデビューし、歌手として声優としてミュージカル俳優としても活躍を続けてきた坂本真綾。アーティストだって当然一人の人間としての人生があり、CDデビュー25周年という大きな節目を越えて、結婚や出産という大きな出来事を経て、それでも歌を歌い続けるという選択だって、当たり前のことじゃない。だからこそ「それでも歌うんだ」ということを決めた人の歌は、より一層の強い輝きを放つ。この日、17曲目に演奏された「レプリカ」は、今の彼女の覚悟と、未来への決意が込められているように感じて、何度もライブで聴いているはずなのに、まるで初めて聴いたような感動を覚えた。人としての底力を感じさせる、魂が宿ったような歌いっぷり、とでも言えばいいだろうか。

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