Photo by 安藤未優 画像 3/9
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《流行りは廃る/花は枯れる/全て終わってゆくのにな/どうして逆らいたいんだろう/果てる景色を愛したい》という真摯な歌詞を通して、不確かな時代に「確かなもの」を音楽で追求する意志を綴った「時のいたずら」。《流れた滴に/生まれた理由の味がした/ダメになってここからだ/位置につけ"Re"スタート》と不屈の挑戦精神をパンキッシュに突き上げた「S.T.U.D」。コロナ禍によって2ndアルバム『SINGALONG』CD盤発売延期とツアー中止を余儀なくされた2020年、CDに先駆けて配信リリースされた『SINGALONG』から国民的ナンバーとして日本全国で愛されることとなった「Mela!」。緊急事態宣言下で制作され、困難に屈することなく前進し続けた緑黄色社会の象徴として『SINGALONG』に加えられた「夏を生きる」(9/17)……。激動の時代の真っ只中にあった緑黄色社会の10年史を、4人が自分たちの力でひとつひとつ栄光の歴史へと塗り替えてきた――という事実を、今回のライブは改めて明確に指し示していた。
2022年、今回の武道館2日間公演を目前に控えた8月下旬には、長屋の新型コロナウイルス感染がアナウンスされるという状況もあったものの、どこまでも伸びやかな歌を響かせた長屋をはじめメンバー全員が、多くのアーティストが名演を刻んできた武道館のステージで至上のアクトを繰り広げてみせた。今なお不安材料が山積する時代の中で、ひたむきに前進することで道を切り開いてきた4人の姿は、武道館という最高の場所で希望として映った。
客席にはまだ歓声もシンガロングも鳴り渡ることはなかったが、ライブ全編で巻き起こっていた会場一面のクラップは、オーディエンスの「魂の合唱」そのものだった。
「高校生の時にこのメンバーに出会って、緑黄色社会のひとりとして音楽をスタートしました。それが、死ぬまで私の誇りで、唯一の人生の転機だと思っています」と、peppe(Keyboard)はバンドへの想いをまっすぐに語っていた。
「ビートルズとか、神々のようなミュージシャンと同じステージに立てて、しびれるほど嬉しいですけど、『ここをゴールだと1mmも思わない、むしろスタートだと思おう』と心に決めていた」という言葉に、穴見真吾(Bass)は音楽家としての闘志をたぎらせていた。
