ツアーTシャツ姿で再びステージに登場した5人はすっかりリラックス。楽器陣が赤い旗を手にステップを踏んで楽しくはしゃいだ「ファイティング!」から、口々に感想を語るMCへ。そして、この季節にぴったりの夏の夜を描いた「BLUE AGAIN」がツアーの最後を飾る。この曲はツアー途中からセットリストに組み込まれ、楽器陣によるセッションのイントロから始まるアレンジに変貌を遂げていったという。それもあってか、互いにアイコンタクトを交わす姿がライヴの最後に強い印象を残した。
演奏を終えた5人の表情からは、バンドとしての充実感がひしひしと感じられた。それが自己満足でないことは、MCでも触れられていたように男性ファンが増えていたことからも明らかだ。彼らは歩みを止めることなく進化し続け、聴く人を魅了し続けている。
何よりも、Psycho le Cémuのライヴに行けば幸せな時間が過ごせること、元気をもらえることを、LIQUID ROOMに足を運んだオーディエンスは強く感じたことだろう。そしてそれはなんと終演後にも続いていた。ホールを出ると、ガラッとイメージを変えた新しいヴィジュアルのポスターが、ロビーにも通路にも大量に貼り巡らされていたのだ。
「え?」
「ヤバい!」
「すごいすごい」
一瞬呆気にとられたようなリアクションもありつつ、ライヴの余韻に浸っていたファンの興奮が再び高まると、撮影大会がスタート。彼ららしい粋なサプライズは、ファンを思う気持ちと常に工夫を凝らして前向きに活動に取り組む姿勢の現れにほかならない。
今年は、Psycho le Cémuのメジャーデビュー20周年記念でもある。10、11月と新曲「もう一度、くちづけを」のリリースが続き、クリスマスにファイナルを迎える全国ツアーも決定している。色気漂う大人な雰囲気のヴィジュアルも含め、次はどんな彼らの魅力を振りまいてくれるのか。気が早いと言われようと、ツアーファイナルが終わった今、すでに楽しみになっている。
文:村山 幸
PHOTO:青木早霞