鈴木雅之の全国ツアー「masayuki suzuki taste of martini tour 2022 ~DISCOVER JAPAN DX~」、そのファイナル公演が7月16日(土)に大阪・フェスティバルホールで開催された。本ツアーは、ソロデビュー35周年を迎えたアニヴァーサリーイヤー、さらにそれを記念して制作されたカヴァーシリーズ『DISCOVER JAPAN』の集大成ともいえるベストアルバム『DISCOVER JAPAN DX』のリリースツアーでもある。ヴォーカリストとしての妙を詰め込んだステージ、その模様がWOWOWで生中継された。
鈴木雅之「masayuki suzuki taste of martini tour 2022 ~DISCOVER JAPAN DX~」大阪公演の模様 Photo by 岸田哲平 画像 2/6
場内アナウンスが観客のテンションを煽るように『KING of LOVE SONG MASAYUKI SUZUKI!』と声高らかに呼び込むと、紫色の怪しげな照明に照らされた鈴木雅之の姿が! キングの名にふさわしく、ステージの一番上に堂々と立ち誇るその姿を見ただけで客席からは歓迎の拍手が大きく鳴り響く。1曲目は「怪物」(YOASOBI)、原曲とは雰囲気をガラリと変え、ぐっと色香が漂う歌唱で観客を心酔させていく。ビートが強くなるたびに鈴木の歌声はより迫力を増し、ステージ後方にある紗幕に彼のシルエットが色濃く映る。視覚からも攻め込んだムードたっぷりの演出に客席からは感嘆の声が漏れ聞こえる。かと思えば、「エイリアンズ」(KIRINJI)ではステージに腰掛け、リラックスしたステージを披露。原曲は低音から高音まで幅広く動き、メロディの構成も複雑な楽曲だが、ヴォーカリスト・鈴木雅之の手、いや声にかかればもうそこはあっという間に彼の世界だ。
「昭和生まれが泣いて喜ぶ歌を」と、次のステージでは「君は薔薇より美しい」(布施明)など、昭和期の名曲カヴァーへ。多くの人に愛されてきた名曲だからこそ、ただなぞるのではなく、より説得力の増した歌にするべく、歌詞に込められた想いをより丁寧に紡いでいく。愛もリスペクトも込められた楽曲は、気付けばしっかりと“鈴木雅之”色に染め上げられていた。
鈴木雅之「masayuki suzuki taste of martini tour 2022 ~DISCOVER JAPAN DX~」大阪公演の模様 Photo by 岸田哲平 画像 3/6
MCでは自身のライフワークとなっているカヴァーシリーズ『DISCOVER JAPAN』についても語る。「言葉ではなく音楽で寄り添うことができるはず」と、作品を作るたびに、日本を再発見できる歌を、いま届けたい歌を、と強い意志を持てたという。そして次のステージでは、より一層心に染み込む歌が届けられた。
「木蘭の涙」(スターダスト☆レビュー)、『逢いたくて』と優しい歌声でそっと寄り添うように歌う。トレードマークのサングラスに眩い照明があたり、まるで涙に光が灯るようだ。続く「愛し君へ」(森山直太朗)ではよりエモーショナルな歌声で観客を圧倒。ヴォーカリストとしての魅力をこれでもかと魅せつけていく。