2022.07.11 公開
【ライブレポート】INORAN「ここは自分のオアシス」、アルバム発売記念アコースティック・ツアー開幕

「INORAN IN MY OASIS Billboard Session」の様子 Photo by 田辺 佳子  画像 1/4

【ライブレポート】INORAN「ここは自分のオアシス」、アルバム発売記念アコースティック・ツアー開幕「INORAN IN MY OASIS Billboard Session」の様子 Photo by 田辺 佳子  画像 3/4

もちろん、アルバムにスペシャルゲストとして参加したR&Bヴォーカリスト、傳田真央がライヴにも登場。「Fading Memory」を伸びやかに歌う傳田に寄り添うように、アコースティック・ギターを柔らかいタッチで指弾きしつつ、声を合わせるINORAN。続いてギターを置いたINORANが歌い始めたのはTourbillon(※INORANがRYUICHI、葉山と活動するロックユニット)の「kagari-bi」。表情豊かな掌の動きからも伝わってくる、溢れる想い。スタンドからもぎ取るようにしてハンドマイクで歌い、傳田とのハーモニー、ユニゾンを響かせる熱いパフォーマンスを繰り広げると、大きな拍手が沸き起こった。

MCでは、発端はスタッフからの提案だったという傳田とのコラボレーションについて、自分の中にいつしか出来上がっていたカテゴリーを越える、新鮮な化学反応が起きた「いい出会い」であったことを語る。「真央さんがこのメンバーに入ってくれることで生まれるハーモニーがある。『もうちょっと寄り添えるように自分も歌わなきゃいけないな』と思ってやっていると、それがパワーになる。今日という日にここに来ることを選んでくれたみんなに、それをギフトできると思っています」とINORAN。人との出会い、結びつきを大切にし、そこから生まれる熱を音楽に込めて届けてきたINORANらしい言葉だった。

「Time After Time」のカヴァーでは、メロディーラインは原曲に忠実ながら、型にはまらないエモーションの炸裂をそれぞれに見せた二人。歌い終えてINORANは、「誰が歌ってもいい曲なんですけど……どうですか?」と問い掛け、観客は力強い拍手で回答していた。何と言っても圧倒的だったのは、新曲「Glorious Sky」。淡いグリーンと白の光がまるで呼吸するかのようなテンポ感で明滅する中、INORANと傳田が絡み合わせたツインヴォーカル。音程がドラマティックに乱高下して紡がれる旋律は、空を飛ぶ鳥のように軽やかで、どこまでも自由。どちらか一人のパートだけ取り出しても美しいのだが、二人の音程が重なったり離れたりして生まれる共鳴は更に美しく、木漏れ日のような光を感じさせた。

深い余韻を残して歌い終えると、この曲で記録しておきたかった想いについて、言葉をじっくりと選びながら語り始めたINORAN。人生の中での無数の出会いに想いを馳せ、「人の波動が触れ合って、揺れたりすることで、生まれる目に見えないものであったり、耳で感じている、その人の音であったり。その人の匂いであったり。そういうのも記録しておきたいな、と。そうやって、作った先に出会う人もたくさんいる」とコメント。音楽を生み出し、アルバムという形にする際に、レコードメーカーのスタッフに会い、メディア関係者と会って取材を受け、ライヴをすればメンバーに会える。「その繰り返しはルーティーンではなくて、繰り返しながら景色が変わっていく……『Glorious Sky』はそういう曲なんです」と、熱く語り、そんな自身に照れたかのようにINORANは笑った。しっかりとその言葉を受け止めたことが分かる、観客の熱い拍手を聞き届けてから、「この2年、たくさんつらいことがあったと思うけど……分かったことがあったと思うんだ」と改めて口を開くと、ライヴ活動がコロナ禍で苦境に追いやられた状況を示唆しながら、「みんな音楽を聴いてたでしょ? そこに音楽があってほしいし、あっただろうし、あってくれてありがとう、だろうし…」と続けたINORAN
「そんなパンデミックの中で、いちばん最初にライヴをさせてもらえたのがBillboardで。その熱意に、僕はすごく心を動かされて。絶対にここは自分の“オアシス”だなと感じた。それが今回のアルバム・タイトルの本当の意味です」とも語った。

「パンデミックでマスクをして、まだ声は出せないかもしれないけど、一つだけできることがあります」と自ら手を鳴らしてみせると、座席エリアの左右に分けて2種類のクラップをレクチャー。「Rise Again」では、そのリズムに乗せてファンを煽りながらパフォーマンスし、会場を一体感で包み込んでいった。

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