2022.06.20 公開
緑黄色社会、自身最大規模の全国ツアー完走

photo by 安藤みゆ  画像 1/5

さらに初期曲「またね」を畳み掛けたところで、「仙台、お待たせしました。『Actor tour 2022』へようこそ!」と呼びかける長屋の声に応えて、堰を切ったように熱い拍手が鳴り渡ると、「やめてよ……みんなすぐ泣いちゃうんだから!」(長屋)とメンバーも感激を隠せない様子だ。

緑黄色社会、自身最大規模の全国ツアー完走photo by 安藤みゆ  画像 3/5

「お待たせした分、最高の一日にしたいと思います!」という言葉の通り、「リトルシンガー」「あのころ見た光」「ずっとずっとずっと」と躍動感あふれる楽曲を次々に披露し、割れんばかりのクラップを呼び起こしていく。コロナ禍の影響ゆえ、会場には歓声も合唱も湧き起こることはなかったが、「あのころ見た光」のコーラスパートで「心の中で一緒に歌ってくれると嬉しいです!」という長屋の呼びかけに応えて、観客の手がその想いとともに高々と突き上がり、ステージと客席の一体感を克明に伝えていた。

そこから一転、「座りながら、リラックスして聴いてください」と長屋自身もステージ上の椅子に腰掛け、ファンシーなポップナンバー「揺れる」、さらにジャジーなアレンジが印象的な「アラモードにワルツ」、と『Actor』の楽曲を続けて演奏。複雑な表情と感情が混在し交錯する日常のリアルを、「Actor=俳優」というキーワードでコンパイルした『Actor』。そんなアルバムの世界観が、メンバーの類稀なる表現力、そして長屋の伸びやかな歌声によって、ホールの空間に鮮やかに解き放たれていく。

緑黄色社会、自身最大規模の全国ツアー完走photo by 安藤みゆ  画像 4/5

中盤のMCの話題は、ライブ前日に仙台入りしたメンバーの行動。「スタッフチーム全員で野球をやって筋肉痛なんですよね」と明かした小林。そんな中、peppeはひとり岩手・平泉の中尊寺に足を伸ばしていたという。「今日、岩手から来た人いる?」という小林の問いに、会場のあちこちから手が上がる。「もともとファイナルは香川県の予定だったんですけど、こういう形でファイナルになって……日程も変わったのに、これだけの人が観に来てくれて、本当に嬉しく思っています!」という小林の言葉に、拍手が巻き起こる。

「地元・愛知で初めてワンマンライブを行った時に作った曲」という紹介とともに「安心してね」のカラフルなサウンドを響かせ、そこから「LITMUS」のミステリアスなドラマ性で観客を惹きつけ、さらに「merry-go-round」のタイトなビート感が、ミラーボールのきらめきと相俟って、場内のクラップを刻一刻と高めていく。長屋の手拍子レクチャーとともに流れ込んだ「Landscape」は、ホールの空間を突き抜けるような開放感で満たしてみせた。

「今回の『Actor tour 2022』を通して、みんなの目を見て、顔を見て、伝えたいことがあって」――ライブが終盤に差し掛かったところで、長屋が話し始める。

2ページ(全11ページ中)

関連タグ

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
WWSチャンネルの人気記事をお届けします

関連記事