ライヴも終盤戦に入り、メンバーも観客も感情を高ぶらせ、荒々しさを増していく。その熱が「愛の唄」で心地よい温もりになって会場を包み込んでいった。美しく輝く照明の光に、それまで目にしていたのは暗い夢であったのかとも思えたが、流れ出した雨音に、5人のレジスタンスが生きる世界へ連れ戻される。青い照明に彩られる中、最後に贈られたのは「哀の雨」。しっとりと大人っぽくしめくくった本編は、最後まで新コンセプトを丁寧に表現し、Psycho le Cémuがこれから進む道をはっきりと提示した。
その後、流れるエンドロール。そして伝えられたのは、「物語は始まったばかり」ということ。この暗くすさんだ雨の続く世界は、コロナ禍にあえぐ現在の世界の状況とも重なる。「アカツキ」で「もう一度行こうぜ」と前へ進み始めた彼らは、雨を降りやませ、明るい世界を取り戻せるのだろうか。コロナの終息は未だ見えないが、23年の間にさまざまな出来事を乗り越えてきた彼らだからこそ、たくましく突き進んでいくはずだ。ステージ上ではためくアカツキの旗の下に揃った5人の姿は雄々しく、誇りに満ちていた。
ファンファーレで華やかに23周年をお祝いして始まったアンコールは、本編がウソのようにハッピーな空気にあふれ、5人も笑顔。一人ひとり、この23年間のお礼を口にし、これからへの決意を表明していく。そしてこの日の最後を飾ったのは、「REMEMBARANCE」。DAISHIの歌声が始まった途端、広い会場の空間がさらに大きく広がり、そこへ声が満ちていくような心地よさを感じた。
『「RESISTANCE〜覚醒の狼煙〜」〜集結せよ、アカツキの旗の下へ〜』より(※提供写真) 画像 7/7
「未来はもう始まる」という歌詞のとおり、ここからまた彼らの未来は幕を開けた。未来のことはまだ誰にもわからない。けれども、5人の充実感に満ちた晴れやかな表情を見ていると、彼らの未来が明るくないはずがない、そう思えた。まずは7月からのツアー『RESISTANCE-領域拡大-』で、ひとりでも多くの人が現在の彼らに触れることを願っている。
(文・村山幸)