そして、その鮮やかなペンライトをかざしているファンを彼らは8号車と呼び、自らのグループの一員としてチームを作っているというわけだ。オープニングからきらびやかな場内、しかし今夜の超特急の衣装はBREAKERZとの戦いを意識してか全員がロックテイストな黒で統一。
インナーはこの日のコラボグッズTシャツ、手にはDAIGOばりにロック手袋まで装着という念の入りようだ。そんな彼らが1曲目に持ってきたのは、リリース目前のピッカピカの新曲「超ネバギバDANCE」。BPM高めのビートに乗って、センター5人がキレッキレのダンスをビシバシ繰り広げ、後方左右でコーイチとタカシがボーカルを務める。
そう、超特急は今まで既存のグループでは当然だったメインボーカルがセンターでその周囲をダンサーが取り囲むといったタイプのグループではない。あくまでメインはダンサー5人、そこにボーカルが彩りを添えるといったニュージェネレーション・スタイルなのだ。
「次の壁も破りたい」と歌うがごとく彼らのダンスもクールかつコミカルな要素も一曲内にあり、しかもダンサーのセンターもどんどん移り変わるスタイル。スピーディーかつ斬新、人の目を釘付けにさせる魅力に溢れている。そしてまたコーイチとタカシのボーカル力も確かなもの。このグループの実力にはわずか一曲目にしてTEAM BREAKERZの心も虜にしたに違いない。
間髪入れずユースケが「いっちょやりますか~」と叫び、曲はさらに速さを増したビートの「バッタマン」へ。シリアスとパロディーを折り重ねたようなカンフー歌謡ナンバーは、もはや超特急ならではの独壇場。目を丸くする間もなく弾丸のようなダンスとグルーヴの波が途切れないユーロディスコ調の「Drive on week」へ。
まるで最初から絶頂クライマックス連続の展開、これはものすごい運動量だ。そしてZepp Nagoyaはすでに巨大なダンスフロアへと変貌していた。
黄色い歓声の中で3曲を終えて初MC、リョーガがまず「BREAKERZの皆さん、10周年おめでとうございます」と口火を切った。雑談めいた7人の会話の中でもメンバー間とファンとの距離の密接さ、そして礼儀正しさが際立つ印象、さすがにこの辺り全員が20代前半とは言え芸能界で鍛えられているショーマンシップが発揮されていた。
「2ndアルバム「Dramatic Seven」のリード曲です。手でハートを作るだけのふりつけなので皆さんも一緒に」と紹介されたのは「Seventh Heaven」。この曲もオープニングは悠久の時を感じさせるドラマティック&メロディー豊かなナンバー、ここでのダンスはまるでミュージカルのそれだ。
それが中盤から突如エレクトロなサウンドに変貌するそのプログレッシヴな展開、そこでオーディエンスとハートの振り付けで一体になり、エンディングで決める止め技、そしてたたみ込むように彼らの代表曲でもあるこれまた四つ打ちグルーヴなポジティヴナンバー「Kiss Me Baby」。ハートビートが止まらない。
二度目のMCではクールダウンしてメンバーがDAIGO節=DAI語を連発。和ませたところで突如BREAKERZ「幾千の迷宮で幾千の謎を解いて」の曲とともにコナン衣装を着たタクヤが躍り出た。そう、彼はこの曲のMusic Clipに実際にコナン役で出演していたのだ。
そんな両者の接点も披露しつつ、続いては「BREAKERZの皆さんにこの曲を届けたい」その一心で「Yell」。バラード調、王道のハートフルなJ-POPソング、さすが超特急、振り幅の広い素晴らしい楽曲ばかり。もちろんコナン姿でセンターを飾るタクヤの姿も印象的な一曲だった。
ホッと和んだのもつかの間、「それでは行きましょ~か!」のかけ声と共にまたもやハイテンションな「越えてアバンチュール」。ディストーションギターとロックグルーヴ全開、歌謡メタル&ラップもごった煮のサウンドがもの凄いテンションで迫ってくる。「最後まで盛り上がって行くぜ!」とジャケットを脱ぎ捨てた7人が明るくポジティヴなナンバー「Burn!」で限界を振り切る。
さらにここではDAIGOのお家芸、うぃっしゅポーズの応酬で会場と一体になって披露。その連帯感を最後までキープして最終曲「fanfare」へとなだれ込む。会場中をアタマから最後まで飽きること無く興奮のるつぼへと落とし込んでいったそのエンターテインメントの権化のようなステージング、アゲアゲのショーマンシップは、新世代のスターの登場を予感させてくれた。
